■隠しきれない殺し屋としての実力…『SPY×FAMILY』ヨル・フォージャー
特殊な能力に長けた3人が仮初めの家族となり、それぞれの目的のために奮闘する姿を描いた『SPY×FAMILY』。2019年より『少年ジャンプ+』(集英社)にて連載開始した遠藤達哉氏の漫画で、その凄まじい人気からアニメ化、映画化などさまざまなメディア展開を続けている。
本作では3人の主要人物が家族となり活躍するが、凄腕スパイであるロイド・フォージャーの妻役を担うのが、夫同様、大きな秘密を抱える美女、ヨル・フォージャーだ。
スタイリッシュな美貌を持つ彼女の表の顔は市役所の事務職員だが、その正体は作中屈指の戦闘能力を誇り「いばら姫」の異名を持つ、凄腕の殺し屋だ。自身はひた隠しにしているつもりだが、日常の端々でその常人離れした身体能力が原因で数々の珍騒動を巻き起こしている。
例えば、テニスをすればサーブでボールを切断し、バレーのスパイクで地面にクレーターを作り、ボウリングでは球をノーバウンドで投げるなど、その行動は常軌を逸している。
ふとしたときに殺気が漏れることもしばしばで、テロリストの軍用犬を睨みだけで威嚇し敗走させたりと、所々で殺し屋としての片鱗を覗かせている。
温厚で少し抜けたところのある“可愛い妻”としての顔と、冷徹に相手を見据える“殺し屋”としての顔。まさに光と影が見事に融合した二面性こそが、彼女の大きな魅力であり、絶大な人気を誇る理由であろう。
少年漫画において、主人公の妻というポジションは作品を支える重要な役割をになっている。
今回紹介した、守銭奴で恐妻家のヂェーン、元最強の殺し屋をビビらせる葵、怪物級の実力を持つヨル。いずれも理想の妻像とは程遠い個性を持ちながらも、彼女たちは作品になくてはならない存在として読者の心に深く刻まれている。
彼女たちの放つ圧倒的な存在感こそが、夫である主人公を輝かせ、作品全体の魅力を一層引き立てる要素となっているのである。


