■司の容姿で性格は大人? 完璧なニセモノ・国沢亜門
物語の中盤、司の母親・道明寺楓の妨害によって、2人の仲が引き裂かれそうになった時期に現れたのが、国沢亜門だ。
彼は司の従兄弟「清永」を名乗り、漁村に身を寄せていたつくしの前に現れる。驚くべきは、そのルックスが司と瓜二つであることだ。しかし、性格は司とは正反対で、冷静沈着かつ理知的。大人の余裕を感じさせる振る舞いで、傷心していたつくしを優しく支えるのである。
顔は好きな人と同じでありながら、性格は穏やかで優しい。司の短気さや幼さ、強引な一面に疲れていた当時のつくしにとって、亜門はまさに究極の理想像といえる存在だっただろう。実際に作中でも、つくしが亜門に対して司にはない安らぎを感じ、心が揺れ動く様子が鮮明に描かれている。
しかし、亜門の正体は、楓が雇った“偽物”であり、つくしを誘惑して司から引き離すための刺客であった。その正体がバレた後の開き直った態度や、“あっち側(上流階級)”の人間としての冷徹な発言は、つくしに身分の違いという現実の厳しさを容赦なく突きつける。
それでも、亜門との出会いはつくしにとって重要な意味を持っていた。どれだけ条件が良くても、どれだけ優しくても、やっぱり本物の司じゃなきゃダメなのだ。亜門の存在は、つくしにそのことを再確認させ、2人の愛をより強固なものへと成長させるための必要不可欠な試練だったのである。
『花より男子』を改めて読み返してみると、つくしが単なる幸運なシンデレラではなく、多くの男性を惹きつけるだけの人間力を持った女性であることがよく分かる。
本作の魅力は、司をはじめとしたF4との華やかな恋愛模様だけでなく、こうした個性豊かな“脇役”の男性キャラクターたちとの出会いと別れにもある。彼らとのかかわりを通じてつくしが自分の本当の気持ちを見つめ直し、人間として成長していく……。その過程もまた、この物語の大きな見どころの1つになっているのである。


