1992年から2004年にかけて『マーガレット』(集英社)で連載され、日本中に旋風を巻き起こした神尾葉子氏の漫画『花より男子』。
本作の恋愛模様といえば、一般庶民の女子高生・牧野つくしが、英徳学園を牛耳るイケメン御曹司集団「F4(エフ・フォー)」のリーダー道明寺司と、そして彼の親友である花沢類との三角関係が主軸である。
しかし、改めて作品を読み返してみると、ヒロインであるつくしは驚くほど多くの男性キャラクターから好意を寄せられていることが分かる。
本作には、つくしに一途な想いを寄せる幼なじみ・青池和也をはじめ、物語の随所で彼女に惹かれる男性キャラが数多く登場する。今回は、F4メンバー以外でつくしに好意を寄せた意外な男性たちとのエピソードを振り返りながら、彼らの隠れた魅力を考察してみたい。
※本記事には作品の内容を含みます
■一番の優良物件? つくしを支え続けた幼なじみ・青池和也
まず紹介したいのは、前述した青池和也だ。彼はつくしの幼なじみであり、英徳学園においては、数少ない“庶民感覚”を共有できる貴重な存在である。
和也は成金家庭の息子として学園に転入してくるが、F4による支配や学園の理不尽なルールに怯むことなく、常につくしの味方であり続けた。
物語序盤、つくしがF4に逆らったことで学園中からいじめのターゲットにされ、ロッカーに「赤札」を貼られた際も、和也は保身に走ることなく「つくしちゃんと一緒なら頑張るよ!!」と宣言し、彼女のそばに居続けた。
和也の最大の魅力は、その揺るぎない一途さと安心感にあるだろう。司が不器用な愛情表現でつくしを振り回し、類が独自のマイペースさでつくしを不安にさせるのとは対照的に、和也は常につくしを肯定し、彼女の幸せを第一に考えて行動しているのだ。
例えば、夏休みにF4らと訪れた熱海の別荘で、つくしが司と思いがけずキスをしてしまう場面。その際、和也は相手が“天下の道明寺”であろうと憶することなく、「よくもつくしちゃんを傷つけたな」「男と男一対一の決闘だっ」と食ってかかり、つくしのためにイカ釣り対決を挑んだのだ。
和也の持つ“何があっても裏切らない誠実さ”と、つくしと同じ目線で笑い合える親しみやすさは、彼こそがつくしに最もふさわしいパートナーではないのかと思わせるほどである。司のような男性との激しい恋に疲れた時、ふと隣で優しく支えてくれる和也のような存在こそが、実は本当の癒やしになるのかもしれない。
■身分を捨てて愛を叫ぶ…男気あふれる政治家の息子・天草清之介
次に紹介するのは、つくしが司と一時的に距離を置いていた時期に出会った「金さん」こと天草清之介だ。
清之介は当初、貧乏な寿司職人の見習いとしてつくしの前に登場する。同じ庶民の雰囲気を持つ彼につくしは親近感を抱き、2人はすぐに意気投合する。司のような華やかさはないが、地に足の着いた生活感と飾らない笑顔は、読んでいる立場としても非常に安心感があった。
しかし、清之介の正体は大物政治家の息子であった。彼は実家に縛られることを嫌い、家出をしていたのである。この「実は御曹司」という設定は少女漫画の王道ともいえるが、清之介の魅力はその後の行動にある。
彼は親が決めた婚約者がいながらも、つくしへの想いを貫こうとする。特に印象的なのが、政財界の大物が集まるパーティーでの公開告白だ。自分の立場や輝かしい将来を捨ててでも、愛する女性への想いを叫ぶその姿は、司の情熱にも負けないほどのインパクトがあった。
さらに清之介は、日本一の女子高生を決めるコンテスト「ティーン・オブ・ジャパン(T・O・J)」へ、つくしが出場するきっかけを作った人物でもある。最終的に彼は自分の運命を受け入れつくしの前から去る決断をするが、その引き際の潔さもまたカッコ良かった。
司のような強引さとは違い、同じ目線で悩み、共に笑い合えるパートナーとしての可能性を一番感じさせたのは清之介だっただろう。もしも彼と結ばれていれば、穏やかで幸せな家庭を築けたのではないかと、今でもそう思わされる魅力的な男性キャラクターだ。


