■もしも『北斗の拳』がドラマだったら…!? 『北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝』
『北斗の拳』が漫画やアニメではなく、特撮ドラマだったら……という奇抜な設定で描かれた一風変わったパロディ作品が『北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝』(原案:武論尊氏・原哲夫氏 作画:倉尾宏氏)だ。『拳王軍ザコたちの挽歌』と同じく、倉尾宏氏による秀逸な設定が光る。
物語の舞台は原作漫画が連載されていたのと同じ1980年代。『北斗の拳』のストーリーを特撮作品にして「リアルに撮影したらどうなる?」をテーマに、原作の有名シーンが生まれる様子が面白おかしく描かれる。
原作漫画では少々不自然に感じられた描写も、ドラマでは役者のアドリブや勘違い、スタッフの失敗など、やむを得ない事情があったことが理由として明かされ、その辻褄をあわせる説得力には思わず「なるほど」とうならされることも。
たとえば原作漫画ではおなじみの敵の体が爆発するシーンは、実はドラマでは目鼻から血のりが吹き出す程度を想定していたが、血のりを送るポンプの不具合によって模型人形の体が裂けて吹っ飛ぶ爆発事故が発生。その迫力とインパクトを見た監督がその表現を採用するという、撮影現場のエピソードがコミカルに描かれているのだ。
この調子でドラマならではのトラブルやアクシデントが、『北斗』の名シーンを次々生み出していく流れが面白い。
また、あくまでドラマなのでカメラが回っていないところでは、ケンシロウが敵役の役者たちと仲良く談笑する場面も。時にはリン役の子役にザコたちが怒られるなど、『北斗の拳』の原作キャラの関係性を知っているほどクスッとさせられるシーンが多い。
以上が設定が斬新に感じた、『北斗の拳』の異色のスピンオフ作品たちだ。このほかにも『北斗の拳 イチゴ味』や『DD北斗の拳』といったギャグ満載の作品もある。
基本的には原作を知らなくても楽しめるが、やはり原作を知っていれば面白さは倍増するはず。2026年1月から『北斗の拳 拳王軍ザコたちの挽歌』のアニメが始まったが、その他の作品も負けないくらいのインパクトがあるので、『北斗』好きで未読の方はぜひ一度読んでみてほしい。


