『北斗の拳』“異世界転生”に“特撮ドラマ化”も…ファンほどハマる「異色すぎるスピンオフ作品」 『ザコたちの挽歌』に『アミバの異世界覇王伝説』、『世紀末ドラマ撮影伝』も…の画像
ゼノンコミックス『北斗の拳外伝 天才アミバの異世界覇王伝説(1)』(コアミックス)

 1983年より「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて連載され、いわゆる“ジャンプ黄金期"の一翼を担っていた『北斗の拳』(原作:武論尊氏、作画:原哲夫氏)。40年以上も前の作品ながらいまだに人気が高く、2026年には新作アニメ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』が放送予定。さらにさまざまなグッズ展開やゲーム、パチンコやパチスロなども好評で、多くの世代から愛される作品となっている。

 また、『北斗の拳』はスピンオフ作品もバラエティに富んでいて、本編のシリアスな流れを汲む『蒼天の拳』や『天の覇王 北斗の拳ラオウ外伝』のような作品だけでなく、原作のパロディが満載のギャグコメディ作品も多数あるのが特徴。

 中には斬新な設定で描かれたスピンオフもあり、今回は特にコメディ色の強い異色の設定が目を引く秀逸な漫画作品を紹介していきたい。

※本記事には各作品の内容を含みます。

■拳王軍のザコ敵たちのとんでも生態を描いた『北斗の拳 拳王軍ザコたちの挽歌』

 今期、まさかのショートアニメ化されて大きな話題になっているのが『北斗の拳 拳王軍ザコたちの挽歌』(原案:武論尊氏・原哲夫氏 作画:倉尾宏氏)だ。原作では弱者を襲い、調子に乗って好き勝手暴れまわるも、ケンシロウなどの強者にぶざまにやられるだけの存在のザコたちの生態に焦点をあてた作品である。

 世紀末に就職活動中のひ弱でビビリな青年ノブが「住み込み三食付き!誰でもできる簡単な仕事」という触れ込みに飛びついて入った職場が、なんと「拳王軍」というストーリー。

 単なる一般人であり、荒くれ者適正はまったくないノブ青年が、意外にも優しく面倒見のいいザコ先輩たちと、ドタバタな拳王軍ライフを送るというギャグコメディだ。

 原作でもおなじみの有名なザコも登場し、ザコたちのぶっ飛んだ言動に振り回されるノブと、ケンシロウに秘孔を突かれて呆気なく爆散するザコたちの哀愁がコミカルに描かれている。

 目の前で仲間の体が爆散してもまったく動じず、ポジティブに世紀末を生きるザコたちの切ない生き様や強靭なメンタルに感心させられること間違いなしだ。

■自称“天才"のアミバが、まさかの異世界転生!? 『北斗の拳外伝 天才アミバの異世界覇王伝説』

 原作では北斗神拳の伝承者ケンシロウに敗れ、ビルから転落しながら爆散したアミバ。南斗聖拳と、我流の北斗神拳を使いこなす“天才"を自称し、トキになりすまして人体実験を行っていた人物だ。

 その転落死したはずのアミバが再び目を覚ましたとき、眼前には荒廃した世紀末とは異なるのどかな風景が広がっていた……というところから始まるのが、『北斗の拳外伝 天才アミバの異世界覇王伝説』(原案:武論尊氏・原哲夫氏 原作:錦ソクラ氏 作画:なっとうごはん氏)。

 このあらすじからも分かるとおり、『北斗の拳』キャラによる異世界転生モノという、ぶっとんだ設定が話題を呼んだ作品である。

 しかも、その世界には魔法も存在しており、アミバはかつて及ばなかった強敵たちに立ち向かうために必死で魔法を習得し、異世界で強くなろうとする。

 アミバらしい利己的な理由で仲間を助けたり、強敵モンスターと死闘を繰り広げたりしながら、すれ違いコントのように周囲から“伝説の勇者”として扱われていく展開は見事だ。

 原作のパロディネタやキャラクターの顔芸などツッコミどころも満載で、『北斗の拳』を知っている人ほど笑えるポイントがたくさんある。それに読み進めていくうちに不思議とアミバに愛着がわいてくる、実に奇妙な作品となっている。

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