待望の放送が始まったアニメ『葬送のフリーレン』第2期。その幕開けを飾るオープニング映像は、作品のイメージをいい意味で裏切り、Mrs.GREEN APPLE(以下、ミセス)の『lulu.』という鮮烈な旋律に乗せて届けられた。
当初は一部のファンの間で、ミセスの持つ明るくキャッチーな雰囲気と作品の淡々とした情緒が「本当に噛み合うのか?」と不安視されていた。しかしふたを開けてみれば、それは悠久の時を生きるエルフ・フリーレンから亡きヒンメルへと宛てた、最高にせつない「手紙」だったように感じさせられた。
■にじみ出る“ヒンメルへの想い”
特定の誰かに語りかけるような「lulu.」の歌詞は、噛みしめるほどにフリーレンの心象風景と重なっていく。また、この楽曲が「エモすぎる」と高く評価されるのは、その曲調がフリーレンにとっての「時間の体感速度」を表現している点にもあるだろう。
人間にとっての数十年は一生だが、彼女にとっては瞬きの一瞬。「lulu.」の疾走感あふれるリズムは、その「通り過ぎていく人間の命」をエルフの視点で追っているようでもある。だからこそ歌詞の「忘れない」「遠くなる」といった言葉からは、剥がれ落ちそうな記憶を必死につなぎとめる誓いや、長寿ゆえの不安といった切実な想いが感じられる。
映像表現もファンを泣かせにきている。特に「半世紀(エーラ)流星」が二度描かれるカットでは、そばにいる仲間たちが歳月を重ね姿を変えていく一方、1人だけ変わらぬ姿のフリーレンが強調されていた。彼女が歩んできた時間の重みに、思わず鼻の奥がツンなった人も多いのではないだろうか。
また、終盤における「蒼月草」の扱い方も秀逸だ。真っ白な空間に立ち尽くすフリーレンの前に、ヒンメルの象徴である蒼月草の花びらが舞い落ち、次の瞬間彼女の周りには色とりどりの花畑が現れる。
本人は気づいていないかもしれないが、彼女の中にはヒンメルと過ごした大切な時間が刻まれている。その事実が示唆された直後、フリーレンの視線が今の仲間であるフェルン、シュタルクに移るという流れも素晴らしい。
フリーレンの手のひらに積もっていく色とりどりの花びらもまた、この「手紙」に添えられた押し花のような役割を果たしている。ヒンメルが理由なく人を助けてきたように、その優しさがフリーレンへ、そしてまた別の人へと連鎖していく。そんな「世界への優しい眼差し」こそが、この曲と作品が伝えたい本質なのではないだろうか。
当初の下馬評を覆し、作品との「解釈一致」を見せたこの楽曲は、「今」を生きる人間たちと向き合い、亡き友を想うフリーレンのリアルな心象風景を際立たせている。この数分間に詰め込まれた「音楽の手紙」は、フリーレンがヒンメルたちから受け取った愛の深さを私たちに教えてくれるようだ。
じっくり見れば見るほど号泣必至なOP映像。毎週の放送が楽しみでならない。


