『MAJOR』本田茂治に『巨人の星』オズマ、『シュート!』久保嘉晴も…もっと活躍が見たかった! スポーツ作品に登場する「志半ばでこの世を去った逸材たち」の画像
少年サンデーコミックス『MAJOR』第2巻(小学館)

 スポーツを題材にした名作漫画・アニメでは、「逸材の死」という切ない展開がしばしば描かれる。ときに主人公をも凌ぐ実力を見せた彼らはまるでスターのようで、「もっと活躍を見たい」と思わせる輝きを放っていた。

 そんな彼らが志半ばでこの世を去ってしまえば、読者の記憶に深く刻まれるのは当然だろう。ファンの間では、生き続けているキャラクターよりも熱心に語られることも少なくない。

 そこで今回は、スポーツ漫画やアニメに登場する「命を落とした逸材」にフォーカスを当ててみよう。

 

※本記事には各作品の内容を含みます。

 

■息子・吾郎との対決も見たかった『MAJOR』本田茂治

 まずは、『MAJOR』(満田拓也さん)に登場する「おとさん」こと、本田茂治からだ。プロ引退寸前の崖っぷちピッチャーからバッターへと転向した彼の奮闘は、息子の吾郎をはじめ、多くのキャラクターに多大な影響を与えた。

 投手として芽が出ず、けがの影響で一時は引退も考えた茂治だったが、吾郎のために野手への転向を決断。学生時代は4番を打っていたバッティングセンスを徹底的に磨き上げ、運命のライバル、ジョー・ギブソンとの対決で忘れられない名勝負を繰り広げる。

 ギブソンの160km/hに迫るストレートに茂治はフルスイングで応え、2打席目に完璧なホームランを放つ。息子のためにバットを握った父親の苦労が報われた瞬間だ。

 しかし、続く3打席目、ギブソンの剛速球が茂治の側頭部に直撃する事故が発生。その場は問題なさそうにふるまった茂治だったが、帰宅後に容態が急変。眠るように息を引き取ってしまうのだ。その第一発見者が、まだ幼い吾郎という悲しすぎる展開も読者の涙を誘った。

 「茂治が生きていれば、どんなバッターになっていただろう?」

 『MAJOR』の読者であれば、一度は考えたことがあるのではないだろうか。あのギブソンのストレートを打った茂治であれば、成長した吾郎の100マイルも打ってみせたのだろうか。そんな親子対決も見てみたかったのが本音だ。

■アニオリで悲惨な死が描かれた『巨人の星』アームストロング・オズマ

 不朽のスポ根野球漫画『巨人の星』(原作:梶原一騎さん・作画:川崎のぼるさん)の主人公・星飛雄馬には、さまざまなライバルが登場する。有名な選手として、花形満、左門豊作らが挙げられるが、「もっと活躍が見たかった」と思わされたライバルといえば、アームストロング・オズマは外せない。

 オズマは、幼い頃より徹底した野球の英才教育を受けてきた生粋の野球人だ。自分と同じように野球に人生を捧げてきた飛雄馬に対し、同族嫌悪にも似た共感を覚えており、そんな2人はプロ野球の舞台で激しくぶつかりあった。

 オズマの印象的なシーンといえば、飛雄馬の魔球「大リーグボール一号」を完璧に打ち砕いた日米野球大会だろう。バットに無理やり当てて打ち取る「大リーグボール一号」は大リーガーをも封じ込めた正真正銘の魔球だったが、オズマは星一徹に授けられた秘策と、超高速の「見えないスイング」の合わせ技で見事なホームランを打ってみせた。

 本作屈指の逸材として、そして飛雄馬のかけがえのないライバルとして描かれたオズマ。だが、アニメ版では彼の悲惨な最期が描かれている。

 日本から帰国したオズマは「見えないスイング」を武器に大リーグで三冠王を獲得。栄光をつかんだのも束の間、ベトナム戦争に徴兵され、砲弾の破片が背中に食い込むけがを負ってしまうのだ。

 それでも飛雄馬との決着をつけるべく来日したり、大リーグに復帰したりと奮闘するも、傷んだ体は限界を迎え、ついに引退を余儀なくされる。そして最期は「俺の分もがんばって、巨人の星になってくれ……!」と、飛雄馬の健闘を祈りながら、涙とともに息を引き取るのだ。

 野球だけに生きてきたオズマの人生の終わりはとても悲しく、なんともやるせない気持ちになってしまう。

 ちなみに原作では、そもそも帰国後のオズマの顛末は描かれていない。どちらがオズマにとって良かったのかは、見る者に委ねられているともいえるだろう。

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