■「仕事どころじゃない」マヤとの愛に全財産と地位を投げ出す覚悟
物語が佳境に入るにつれ、真澄のマヤへの想いはさらに加速し、ついに自らの仕事や地位をも投げ出す方向へと舵を切るのである。
もともと真澄は速水家の養子として、父・英介の悲願である「紅天女」の上演権を手に入れるために育てられた、いわば家業の駒だった。 その一環として、真澄は巨大財閥である鷹宮グループの令嬢・鷹宮紫織との政略結婚を英介より命じられる。紫織は真澄を深く愛する余り、マヤへの嫉妬心から自殺を図るなど、彼がいなければ不安定な状態に陥っている。
大都芸能は鷹宮グループとプロジェクトを進めるなど関係を深めていたため、真澄に結婚を回避する選択肢など存在しないはずだった。しかし、マヤへの抑えきれない恋情が、ついに彼を突き動かす。
現在刊行されている最新コミックス第49巻のラストにて、真澄はこれまで築き上げてきた地位、名声、結婚のすべてを捨て去る覚悟を見せている。「おれはおれの人生を生きる…!」という叫びは、自分を縛り付けてきた呪縛からの決別だと言えるだろう。
1人の少女への愛のため、日本を代表する芸能プロダクションの崩壊を承知で人生をリセットする——このあまりにも激しい愛の行方は今後どうなっていくのか、多くのファンが固唾を呑んで見守っている。
速水真澄という男は、1人の天才少女を輝かせるための「黒衣」となり、最終的には自分のすべてを投げ出すことも予想される。彼が歩んだ道のりは、現代における「推し活」の究極にしてもっとも過酷な形ともいえそうだ。
地位や財産の放棄すらいとわない真澄の深い愛情が、今後、表現者としてのマヤの演技にどのような変化をもたらすのか。2人の愛の結末から、今後も目が離せない。


