「どんな終わり方だっけ?」徳弘正也のジャンプ漫画『ジャングルの王者ターちゃん』意外と覚えてない「感動的な最終回」の画像
アニメ『ジャングルの王者ターちゃん』Blu-ray Vol.2 (C)徳弘正也/集英社・テレビ東京・アミューズ

 1980年代後半から90年代半ばにかけて『週刊少年ジャンプ』(集英社)の黄金期を支えた徳弘正也氏の代表作『ジャングルの王者ターちゃん♡』は、連載中に作風が劇的な変貌を遂げた作品である。下ネタ満載のギャグ漫画、あるいは手に汗握る異能バトル漫画として、多くの読者の記憶に刻まれている。

 本作は1988年に連載が始まり、1990年からは『新ジャングルの王者ターちゃん♡』へと改題、単行本は全27巻に及ぶ。物語は日常ギャグから、クローン人間や古代戦士、吸血鬼といった強敵との死闘を描くバトル路線へ移行した。

 最終的には未来からの刺客と戦うSF展開にまで発展したが、その結末を正確に記憶している読者はどれだけいるだろうか。

 

※本記事には、作品の核心部分の内容も含みます。

■ラストはまさかのSF展開!?

 本作は、連載当初1話完結のギャグ路線だったがページ数の増加に伴い、次第に長編のバトル路線へとシフト。「ユンケル帝国編」から「中国武術編」「アメリカ編」と続き、ヴァンパイアやクローン人間、5000年前の古代戦士といった敵が登場し、物語のスケールは加速度的にインフレしていった。

 そして連載の最後を飾ったのが「未来編」だ。

 最終章の敵は、約50年後の未来の世界で暴れ回っているカルト教団だ。彼らは、中国西派32門の「白華拳」最高師範・梁師範の息子であり、未来の重要人物となる空総を抹殺すべく、現代へ刺客を送り込んできた。これは、作中でも「なーんだ ターミネーターにそっくり」と言われている通り、映画『ターミネーター』でジョン・コナーが狙われた構図とよく似ている。

 ターちゃん一行はこの刺客を迎え撃ち、見事な勝利をおさめる。やがて明かされた教団の教祖・タオの正体は、天才的な頭脳を誇る幼い子どもだった。

 戦いの中でターちゃんたちは、未来の世界では人口爆発による食料不足の結果、アフリカの動物たちが乱獲されて絶滅したという悲劇的な事実を聞かされる。しかしそれを知ってなお、一同は「我々の力で未来を変えるのだ!!」と力強く宣言。タオは「貴様らに何ができる」と吐き捨てたものの、真剣なのかふざけているのかわからない皆のペースにあきれ、それ以上の攻撃を加えることなく未来へと帰っていった。

 その際、タオはふと未来のアフリカの様子を見てみることにする。すると、彼の前には夢のような光景が広がっていた。絶滅したはずの動物たちが、かつてそうであった以上に生き生きと暮らしていたのである。それは太陽電池によるエネルギー供給、動物を守るための「ハンター監視衛星」や「ロボットレンジャー」など、ターちゃんたちの努力が生み出した新たな未来だった。

 さらにタオは、未来にいるはずのないターちゃんの背中を見つける。そしてすぐさま「ターちゃんごめんよ」と近づくと、そばにいたロボットから衝撃の事実を告げられる。それは本人ではなく、かつてアフリカの動物を守り抜いた英雄の「石像」。さらにその隣には、ターちゃんよりも遥かに巨大な、純金で作られた妻・ヂェーンの像もそびえ立っていた。このシュールかつ感動的なエピローグをもって、物語は完結を迎えるのだった……。

 

 こうした「未来編」の結末は、ギャグを主体にジャングルの平和を守っていた頃の『ターちゃん』を読んでいた人からすると、意外な終わり方に思えるかもしれない。だが、この終盤の展開に込められた作風のDNAは、ハードでダークな世界観で繰り広げられる徳弘正也氏の傑作『狂四郎2030』へと受け継がれていったという見方もできるだろう。

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