『名探偵コナン』黒ずくめの組織の「コードネーム」の意図とは?ジン、ウォッカ、ベルモット…酒の名前に隠された「実力差」の謎に迫るの画像
『名探偵コナン スーパーコレクション 特集・黒の組織』(小学館)

 青山剛昌氏による国民的人気漫画『名探偵コナン』。その物語最大の謎であり、主人公・江戸川コナンが長年追い続ける宿敵が「黒ずくめの組織」だ。彼らは漆黒の衣装を身にまとい、互いを酒の名に由来する「コードネーム」で呼び合う。

 連載開始から30年以上が経過し、組織の全貌やボスである「あの方」の正体に関する伏線が次々と回収されている。そんな中、一部のファンの間で議論されてきたのが、コードネームに隠された法則性と、そこに示唆される「実力差」である。

 単なる識別記号に留まらないこの命名規則には、各メンバーの組織内での地位や物語上の重要度を暗示する、緻密な計算が働いているのではないかと推測されているのだ。

 

※本記事には作品の内容を含みます

■性別によって酒の分類が異なる

 まず注目すべきは、広く知られる「性別による分類」のルールだろう。

 ジン、ウォッカ、ラム、コルンといった男性メンバーには、アルコール度数が高く喉を焼くようなキレを持つ「蒸留酒」の名が与えられている。対して、ベルモットやシェリー(宮野志保)、キャンティ、潜入捜査官であるキール(水無怜奈)ら女性陣には、「醸造酒」であるワインやリキュール、あるいはそれらをベースとした酒の名が多く見受けられる。

 初期から目立つ存在であるジンは、カクテルのベースとして多用される酒であり、その名が示す通り強烈な個性を放つ。一方、ジンの傍らに控えるウォッカは、同じ蒸留酒の名を持ちながらもあくまでサポート役に徹している。このように、コードネームを持つ精鋭メンバー間でも、明確な上下関係や能力差が存在することが示唆されている。

 一方、ワイン系の名を持つ女性メンバーの役割はより専門的かつ複雑だ。特に、主要な女性キャラクターに「特別なワイン」の名が与えられている点は注目に値する。

 たとえば、組織を離反した灰原哀こと宮野志保のコードネーム・シェリーは、「酒精強化ワイン(フォーティファイド・ワイン)」の代表格だ。醸造過程で蒸留酒を加え、アルコール度数と保存性を高めたこの酒の名は、まさに組織の重要人物にふさわしい。また、辛口から甘口まで多様な風味を持ち、熟成で深みを増す特性は、組織の頭脳として「APTX4869」を開発しつつも繊細な内面を持つ彼女の人物像と見事に共鳴している。

 ボスの寵愛を受けるベルモットは、香草やスパイスを漬け込んだ「フレーバードワイン」の一種だ。その複雑な製法とミステリアスな香りは、変装術の達人であり、組織内でも謎の多い行動をとる彼女の特異な立ち位置を象徴している。単なるワインに「ひと手間」加えたこれらの酒の名は、彼女たちが組織において代替不能な「希少な才能」の持ち主であることを物語っているようだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3