日本の漫画文化において、野球漫画はスポーツを題材にした作品の中でも特に注目を集めるジャンルとして人気を博してきた。手に汗握る試合展開、仲間との友情、挫折からの勝利……さまざまな熱いドラマが描かれ、読者の心をつかんできたのである。そこには、王道のスポ根ヒーローから異端の天才まで、多種多様な主人公が存在する。
もし、そんな個性豊かな主人公たちだけで「侍ジャパン」を結成したら、一体どんなドリームチームが生まれるだろうか。今回は、野球漫画好きである筆者が独断と偏見でピックアップした、夢のベストナインを選出してみたい。
■投手陣はやはり激戦区!
まずは激戦区の投手陣から。先発の一角を担うのは、昭和の野球漫画を象徴する『巨人の星』の星飛雄馬である。アニメ主題歌の歌詞にある「思いこんだら 試練の道を」という言葉通り、血のにじむような努力と根性で魔球を完成させたレジェンドだ。その執念の投球により、国際試合でもチームの精神的支柱となるにちがいない。
左のエースに指名したいのは『MAJOR』の茂野吾郎だ。彼は右肩の故障という致命的な挫折を乗り越え、左投げに転向してメジャーリーガーにまで上り詰めた不屈の精神の持ち主だ。ワールドシリーズを戦い抜いた経験は、チームにとって最大の武器となるだろう。
『タッチ』の上杉達也は、一度は野球から距離を置いた異色の主人公。「南を甲子園に連れていく」という想いを胸に投手として覚醒し、甲子園優勝投手となったその才能は折り紙つき。アニメのオリジナルストーリーではマイナーリーグでの活躍も描かれており、そのポテンシャルは計り知れない。
『ダイヤのA』の沢村栄純も貴重な戦力だ。ミスターポジティブな性格と、ブルペンからでもチームを鼓舞する姿勢は、国際大会という大舞台でこそ輝くだろう。テンポの良い投球と多彩な魔球「ナンバーズ」で打者を翻弄し、先発・リリーフを問わず試合の流れを変える力を持っている。
『Dreams』の久里武志は、最速160キロの速球に加え、4種類もある「バクボール」に代表される数々の魔球を操る天才投手である。理論と感覚を融合させた投球スタイルは、パワーで押してくる海外の強打者に対しても絶大な効果を発揮しそうだ。
そして、この先発陣の中で異質にして最強の勝負師が『ONE OUTS』の渡久地東亜である。球速は平均120キロと平凡ながら、リリースの瞬間に球速や回転数を自在に操り、手元で沈む低回転ストレート、見た目より沈まない高回転ストレートなど、何種類もの“質の違うストレート”を投げ分ける。さらに、悪魔的とも言える心理操作術、常識に縛られない発想力、山場を嗅ぎ分ける勝負勘、「必ず勝つ」という強靭なメンタルを兼ね備えており、短期決戦においてこれほど心強い投手はいないだろう。
中継ぎには『グラゼニ』の凡田夏之介。左のワンポイントとして淡々と役割を果たす、計算が立つ投手だ。現在はナックルボーラーに転身しており、先発陣の速球に目が慣れた打者を翻弄することは間違いない。
抑えの切り札は『フォーシーム』の逢坂猛史に任せたい。球速こそ140キロ台と突出していないが、1イニング限定での安定感は群を抜いている。最終回の重圧をものともしない強心臓と覚悟で、見事に試合を締めくくってくれるだろう。


