2025年12月11日、少女漫画界のレジェンド・神尾葉子氏による初の自伝的エッセイ集『花より漫画』(KADOKAWA)が発売された。同作には『花より男子』の連載秘話や、今だからこそ語れる創作の裏側が綴られており、これを機にあらためて原作を読み直すファンも少なくないだろう。
『花より男子』は、1992年から2004年にかけて少女漫画誌『マーガレット』(集英社)で連載された作品だ。超富裕層の御曹司集団「F4(エフ・フォー)」が牛耳る英徳学園に入学した庶民の少女・牧野つくしが学園の理不尽に立ち向かい、恋と友情に翻弄されつつも力強く成長していく姿を描いた物語である。
そんな本作には、魅力的な男性キャラクターが多く登場する。連載当時は、道明寺司や花沢類が不動の人気キャラと言われていたが、あらためて読み返してみると「恋人にするなら他のキャラクターのほうが良いかも?」とも思うのだ。
そこで、ここではつくしを陰で支えた魅力的な男性陣にスポットを当て、大人になった今だからこそ分かる「本当にイイ男」を探ってみたい。
※本記事には作品の内容を含みます
■変わらぬ安心感を与えてくれる真の理解者・青池和也
青池和也はつくしの小学校時代からの同級生であり、成金家庭の息子として英徳学園に編入してきたキャラクターだ。
彼はF4という絶対的な権力を持つ生徒が存在する学園内で、つくしが唯一気兼ねなく自然体で接することができる男子である。物語初期から終盤まで、彼は「つくしの味方」であり続けた。
和也の登場シーンを読み返してみると、彼がつくしに対して常に一途であったことがわかる。最初はつくしと仲良くしたことでF4からロッカーに「赤札」を貼られ、過激ないじめの標的になってしまう。しかし、そんな状況でも彼は学園から逃げ出さず「つくしちゃんと一緒なら頑張るよ!!」と言って、最後までつくしと行動をともにしようとするのだ。
天然で少し頼りない印象のある和也だが、能天気な性格ゆえか、学園中から恐れられている道明寺にさえ物怖じしない。夏休みに一行が訪れた熱海の別荘では、つくしとキスをした道明寺に対し「よくもつくしちゃんを傷つけたな」「男と男一対一の決闘だっ」と闘志を燃やし、イカ釣り対決で勝負を挑む場面もあった。そんな度胸が据わった和也は、一時期は花沢類に代わってF4のメンバーになったことさえある。
ルックス的にはF4のメンバーに及ばないかもしれないが、和也は常につくしのことを案じ、庶民的な金銭感覚も持ち合わせている。もし和也と付き合えば、ほのぼのとした幸せな毎日が送れるだろう。
■自分の意志で運命を切り拓こうとする男、天草清之介
天草清之介は、物語の転換期において重要な役割を担うキャラクターだ。
つくしは清之介と出会った当初、彼を自分と同じようにアルバイトに励む苦学生だと思い込み、親しみを込めて「金さん」と呼んでいた。しかし、その正体は大物代議士の息子であり、親が敷いた人生のレールに沿って生きることに激しく反発している青年だったのだ。
そもそもつくしとの関係は、危ない目に遭いそうになった彼女を清之介が助け、新しいアルバイト先を紹介したことから始まる。
清之介は、自分とは真逆の環境でたくましく生きるつくしの雑草魂に強く惹かれ、政界関係者が集まるパーティーの席で、大勢を前にしてつくしに公開告白をする。そして、この出来事がマスコミにスクープされた結果、物語は「日本一の女子高生」を決めるコンテスト「ティーン・オブ・ジャパン」へと展開していくのである。
清之介の行動を振り返ると、単なるお坊ちゃんの反抗期ではなく、自らの力で道を切り開こうとする強い自立心の表れであることが分かる。また、彼を一途に想いアメリカから帰国した婚約者・栗巻あや乃との関係性も含め、清之介はつくしに対して人と本気で向き合うことの厳しさを体現した人物でもあった。
安定した将来を捨て、自分の理想を追い求める清之介の姿は、道明寺とは違うタイプの魅力とカッコよさがあるだろう。


