■黒ずくめの組織との関わりで命を絶った諸伏景光

 諸伏景光の死は、他の3人とは大きく性質が異なる。彼は公安部警察官として黒ずくめの組織に「スコッチ」の名で潜入し、正体が露見したことで自ら命を絶った。「逃げ場はもう… あの世しかないようだ… じゃあな零…」。そう覚悟を決め、仲間や家族の情報の入った携帯電話ごと、自らの胸を拳銃で撃ち抜いたのである。

 景光は降谷の幼なじみであり、「ヒロ」「ゼロ」とあだ名で呼び合うほど仲が良い。彼の死は、安室(降谷)と赤井秀一の間に深い因縁を生むきっかけにもなっており、作中屈指の人気キャラである2人の関係性を語るうえで欠かせない人物である。

 こうした重要な立ち位置にあることに加え、好青年かつイケメンでもあった景光は、故人でありながら高い読者人気を誇る。そのためファンの間では、今もなお生存を望む声や考察が絶えない。

 ただ、作者の青山氏がスコッチ生存の可能性について否定したこともあり、生存説はあくまでファンの希望的な考察にとどまっているのが現状だ。

 景光の死が降谷に残した影は計り知れない。仲間を守るため自決を選んだ親友の覚悟と、彼を救えなかった後悔は、降谷の行動原理の奥深くに刻まれている。景光の死は、今後の物語においても重要な意味を持ち続けるのだろう。

 

 警察学校組は全員が優秀で仲間思いであり、輝かしい未来が訪れるはずだった。それでも道半ばで命を落としたという事実は、『名探偵コナン』という作品が描く世界の厳しさを突きつけてくる。正義を貫いても必ず報われるわけではない。だからこそ、彼らの死は今もなお重い意味を持ち続けている。

 今年公開予定の劇場版『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』の中で再び彼らがクローズアップされるとすれば、それは単なる過去の回想にとどまらず、残された者がどう生きるのかを描くためなのかもしれない。

 警察学校組のメンバーが生き返ることはないだろう。しかし彼らの魂は、降谷零をはじめとする登場人物たちの中、そして物語の中で、今もたしかに生き続けている。

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