■睡眠薬で眠らされたBJを奇策で覚醒させた!? 「小さな悪魔」
BJは作中で数々の敵に命を狙われるが、なんと少年によって手術中に眠らされてしまった例もある。それが「小さな悪魔」というエピソードだ。そして、この絶体絶命の危機からBJを救ったのも、またピノコであった。
母親のことが大好きなある少年。しかし彼の母親は「胞状奇胎」という病を患い、BJの手術を受けることに。子宮の摘出が必要となり、少年はBJを逆恨みして睡眠薬を飲ませる。その結果、BJは手術中に眠って意識を失い、倒れてしまうのだ。
しかし、そこに帰宅したピノコが、倒れたBJを発見。彼女が取った行動は、瓶いっぱいの大量の辛子をBJに無理やり食べさせるというものだった。その強烈な刺激で目が覚めたBJは、ヒーヒー言いながらも手術を再開させ、見事成功させるのであった。
睡眠薬で眠る相手に大量の辛子を食べさせるアイデアは、まさにピノコならではの奇想天外な発想だろう。あまりの辛さに飛び起き、ハチャメチャになりながらも手術をするBJの姿は非常にレアだ。これもピノコの存在なくしては見られなかった名場面だといえるだろう。
■手術の助手として立派な活躍を見せた「短指症」
最後は、ピノコがBJの助手としての役割を十分に果たした「短指症」のエピソードを紹介したい。
ある日、BJのもとに、脳深部に腫瘍がある子どもの手術依頼が舞い込む。その手術は世界中の名医が匙を投げた、極めて難しい手術だった。
BJはこれを引き受け、ピノコに「明日の朝九時からオペだッ」と伝える。アニメが見たいと渋るピノコを一喝し、翌朝、手術は開始された。
この手術では、唇から頬の部分を切開し、眼球にヘラを差し込むなど、かなりハードな描写が続く。思わず目をつぶってしまうピノコに、BJは「おびえるな眼を開けろッ」と厳しく命じ、長時間にわたる大手術は夕方まで続いた。
こうして丸一日助手として活躍したピノコは、手術終了後には疲れ果て眠り込んでしまう。そんな彼女をBJは優しく起こし、「よくやったぞ!大活躍だったな」と、素直に称えるのであった。
普段は子どもっぽく、おっちょこちょいな一面からトラブルを起こすこともあるピノコだが、ひとたび手術になると真剣にBJをサポートし、手術の成功に貢献している。小さな身体で長時間立ち続け、助手として働くピノコは、まさにBJの神業を支える陰の立役者なのである。
こうして振り返ってみると、ピノコは愛らしい見た目とは裏腹に、手術のシーンでは驚くべき大活躍を見せている。BJに育てられ、守ってもらっている立場にあるように見えるが、実際にはピノコがいなければBJの命が危うかったシーンも多いのだ。
『ブラック・ジャック』は手塚さん亡きあと、生成AIによって新作が誕生したことも話題になった。今後もBJだけでなく、彼の最高のパートナーであるピノコの活躍が、新たな形で見られることにも期待したい。


