まさに最高のパートナー! 『ブラック・ジャック』BJの窮地を救った「ピノコの大活躍エピソード」機転を利かせたサポート、突拍子もない奇策も…の画像
『ブラック・ジャック DVD BOOK BJ&ピノコの過去編』(宝島社)(C)手塚プロダクション・読売テレビ ©手塚プロダクション

 手塚治虫さんの不朽の名作『ブラック・ジャック』は、天才外科医が活躍する医療漫画の金字塔として、時代を超えて多くの世代に愛され続けている。

 主人公のブラック・ジャック(以下BJ)は、現代医療でも困難な神業手術で多くの患者を救う。そんな彼を支えるのが、小さな助手・ピノコである。

 ピノコはもともとBJによって命を吹き込まれた、いわば彼の子どものような存在だが、作中ではBJのピンチを何度も救っている。医療知識こそないものの、手術器具の受け渡しでBJをサポートし、とっさの機転や何気ない助言で彼にヒントを与えたことも少なくない。

 ここでは、そんなピノコの活躍が光るエピソードを振り返っていきたい。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■機転を利かせた鏡で難手術を成功に導いた!「ピノコ・ラブストーリー」

 まずは、ピノコの機転が難手術を成功に導いたエピソード「ピノコ・ラブストーリー 」を紹介したい。

 ある日、ピノコは公園で知り合った男の子と恋人ごっこをして遊んでいた。しかし後日、その少年は深刻な内臓疾患でBJのもとに担ぎ込まれてくる。

 少年の身体は「全内臓転位症」という稀な症状で、心臓をはじめとするすべての内臓の位置が左右逆に配置されていた。この特殊な症例にさすがのBJも苦戦し、血管鉗子の取り扱いを誤って出血させるなど、いつものような手術ができない。

 だが、そこでピノコが機転を利かせて持ってきたのが鏡だった。BJは、その鏡に映る内臓の位置を確認しながら手術を進め、この困難なオペを無事に成功させたのである。

 特殊な症例を前に焦りや苛立ちを見せるBJに対し、ピノコは落ち着いて鏡を用意した。作品を振り返ってみると、BJがピリピリしている際、ピノコが落ち着いて彼を支える場面は作中でたびたび描かれている。BJにとって精神的なサポートの点でも、ピノコは欠かせない存在なのだ。

■自己手術に挑むBJを助けた「ピノコ再び」

 「ピノコ再び」は、ピノコの将来を考えたBJが、彼女をほかの医者の家へ養女に出そうとするエピソードだ。BJのもとで暮らしたいピノコは猛反発するが、「私はおまえがいるとじゃまなんだ」という彼の非情な一言で、泣く泣く家を出ていく。

 しかし、ピノコが養女に出た後、BJは腹膜炎を発症する。化学療法でも効果がなく、仕方なく彼は自らの体にメスを入れるという無謀な手術を開始。だが、誤って腸間膜を傷つけ、大量出血を起こしてしまうのだ。

 危機一髪の中、駆けつけたのはピノコだった。彼女はBJへ鉗子を渡し、その後も彼の指示に従って的確に医療機器を手渡したことで、手術は無事に成功する。

 手術後、静かに去ろうとするピノコに、BJは「どこへいく?ここにいろ!」と、彼女を引き留めるのである。

 ピノコの将来を思って一度は養子に出したBJだったが、皮肉にもそのピノコによって自分自身の命が救われる結果となった。ぶかぶかの手術用手袋をはめ、一生懸命BJの指示に応えるピノコは、可愛らしくも頼もしかった。ピノコがBJにとってかけがえのないパートナーであることを証明した、印象深いエピソードだ。

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