■三兄弟の育ての母! 泥臭くも愛情に満ちた山賊「カーリー・ダダン」

 最後の1人は、ルフィ、エース、サボという、のちに世界を揺るがす超ド級の三兄弟を育て上げた山賊、カーリー・ダダンだ。

 オレンジの天然パーマにいかつい体格、口には常に煙草をくわえている。その風貌は一見すると「マダム」とは程遠いが、その内面には誰よりも熱く、深い母性を持ち合わせている。

 彼女は言葉よりも行動で愛情を示す人物だ。海賊ブルージャム一味との一件では、窮地に陥った幼いルフィたちの元へ迷わず駆けつけ、自ら武器を手にして敵に斬りかかった。

 猛烈な炎に包まれる絶体絶命の状況下で、自身も大火傷を負いながらエースを守り抜いたあの覚悟。その姿は、山賊の意地を超えた「親」としての本能そのものだった。

 やがてサボ、続いてエース、その3年後にルフィと、彼女が育てた息子たちが次々と海へ旅立っていく。彼らの船出の日、“しょうもないクソガキ”と悪態をつきながらも、彼らの感謝の言葉を聞いてたまらず号泣してしまう。その強がりな姿と、隠しきれないあふれんばかりの愛情のギャップこそが、彼女の最大の魅力であり、「いい女」たるゆえんである。

 そんなダダンの母性が最も鮮烈に示されたのが、マリンフォード頂上戦争後のエピソードだろう。エースを失い、フーシャ村に帰還したモンキー・D・ガープに対し、殴りかかったダダン。あれほど恐れていたはずの「海軍の英雄」を容赦なく流血させ、「一番辛いのは……!! ルフィの奴さ!!!」と叫び、遺された義理の息子の心痛を想って号泣する。その姿は、血縁以上の絆で結ばれた「母親」そのものだった。

 その後ダダンは、連載の扉絵シリーズの中でも、息子たちの活躍を報じる新聞記事をスクラップし、彼らの大暴れに喜ぶ姿が描かれている。

 泥臭くて、誰よりも温かいダダンの愛情。たとえ血のつながりはなくとも、そこには確かに家族の絆が存在するのである。

 

 ナミやロビンのような華やかさとはまた違う、年輪を重ねることで磨かれた美しさと強さを持つマダムたち。彼女たちの存在は、『ONE PIECE』という壮大な物語に深い説得力と人間ドラマの厚みを与えている。

 世界の荒波を知り尽くした彼女たちが、ふとした瞬間に見せる凛とした強さと包容力。そんな姿を見せつけられると、年齢を重ねていくことも案外悪くないように思える。

 彼女たちは、作中のキャラクターにとっても読者にとっても最高に格好良く、魅力的な大人の女性像そのものなのである。

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