■金の代わりに指4本切断…

 利根川にEカードで勝利したカイジは、その勢いのまま兵藤に直接対決を挑む。

 兵頭は賭け金を1億円に設定し、不足分をカイジ自身の指で払うよう要求してきた。カイジが持っているのは2000万円で、8000万円を指で補う必要がある。指1本の値段設定は2000万。つまり、カイジは敗北すれば指4本を失うことになる。

 しかし、カイジはこの過酷すぎる条件をのんだ。彼には勝算があったからだ。勝負は単純なくじ引きで、当たりくじを引いた方の勝ちというものだが、カイジは当たりくじを事前に仕込んで隠していた。

 だが、老獪な兵藤はカイジの策略を見抜き、あっさりと当たりくじを引き当てる。その瞬間、カイジの敗北と指の切断が決定するのだった。

 その方法はギロチンのような器具に手を乗せ、刃を一気に振り下ろすというもので、想像するだけで恐ろしい……。利根川に勝って得た金だけでなく、体の一部まで同時に失ったカイジは、まさに天国から地獄へと突き落とされたのである。

■地味だけど残忍、血のマニキュア

 最後は『賭博破戒録カイジ』に出てきた拷問シーン「血のマニキュア」だ。これは、パチンコ「沼」をめぐる一条聖也との対決で描かれたものである。

 カイジは「沼」の攻略のため、一条が店長を務める裏カジノに忍び込む。金庫から金を盗むように見せかけ、その裏で台に仕込みを済ませる算段だった。もちろん、一条にバレることも想定内である。

 しかし、捕まった後の制裁はおそらくカイジの予想を上回るものだっただろう。一条は、殴る蹴るといったあからさまな暴力は問題になると考え、より陰湿な制裁を下したのである。

 それこそが「血のマニキュア」、指と爪の間に針をねじこむという拷問だ。これなら外からは目立たないが、激痛を与えることができる。その発想の残忍さには戦慄してしまった……。

 カイジは両手の指すべてに針を刺されたが、それでもなんとか耐えていた。ふだん自堕落な性格をしているのに、なぜこのような極限状況でカイジの心が折れないのか。読むたび不思議に思うと同時に感心してしまう。

 

 『カイジ』シリーズに登場する敗者への制裁や拷問のシーンは、常軌を逸したものが多い。しかし、それが「怖いもの見たさ」という感情を強烈に刺激するからこそ、読者はさらなる展開を期待してしまうのかもしれない。

 作中で描かれる極限状態は、人間の本性をむき出しにしていく。それを安全な場所から覗き見ることで、我々は言い知れぬ背徳感とともに魅了させられるのだろう。

 

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賭博黙示録 カイジ 1
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