■サル、馬……賢すぎる動物たちと科捜研の攻防戦
知能が高い動物たちは、時に捜査の大きな助けになるため、マリコたちはその習性などを利用して捜査に臨む。
例えば、サルが唯一の目撃者となったseason22第5話。事件現場は「動物音声学研究室」で、常時記録されていたサルの音声データが重要な手がかりとなった。
死亡推定時刻は深夜1時から3時ごろとされていた。マリコたちは、サルが激しく鳴いた時間帯に事件が起きたと推測。音声記録を確認してみると、深夜2時ごろにサルの激しい鳴き声が確認され、犯行時刻の特定に成功した。
この事件でサル以上の存在感を放っているのが、希少なカメ“マラッカガメ”だ。事件と同時に研究室から姿を消しており、犯人の目的はこのカメの窃盗だとみられた。マリコたちはその行方を追うため、ドローンで空気中に飛散したカメのDNAを採取するという大がかりな捜査を展開する。
サルの鳴き声から始まったこの事件は、やがてカメが主軸となり、“動機も凶器もカメ”だったという衝撃的な結末を迎える。まさに動物尽くしのエピソードだった。
同じくseason22の第7話も印象深い。このエピソードで事件の鍵を握るのは、元競走馬のウィンター号である。事件は乗馬ファームの厩舎の前で発生し、現場には遺体だけが残され、ウィンター号は姿を消していた。
その後、無事に発見されたウィンター号。体には被害者の痕跡が残っており、マリコたちが証拠を採取しようとすると、動物行動学を専門とする准教授・生駒遥夏が現れる。彼女は、馬が優れた記憶力や知能を持ち、人間の表情を理解して個人を識別することもできると語る。
それを聞いたマリコは、ウィンター号が目撃した事実を知るため、あるユニークな捜査を思いつく。ウィンター号に犯人の顔を確認させる「面通し」実験だ。
ウィンター号の前に容疑者を連れてきて、リラックスした表情と怒りの表情を作らせる。そうするとウィンター号はそれぞれに違った反応を見せ、その知能の高さをしめした。その後、物語の中でウィンター号がとった行動が、真犯人の存在を炙り出していくことになる。
■解決のカギは“鼻紋”?牛の特性を利用して事件解決へ
最後に紹介するのは、シリーズ屈指の難しい目撃者と思われる「牛」だ。season20第5話の事件現場は牧場で、唯一の目撃者となったのは牛だった。
これまで紹介した動物よりも、牛から情報を得る難易度はよりいっそう高いように思える。しかし、そんなことであきらめるマリコではない。
捜査はまず、どの牛が目撃者となったのか特定するところから始まった。そこで用いられたのが「鼻紋鑑定」だ。
被害者のカバンには、牛の鼻の跡が残されていた。牛の「鼻紋」は人間の指紋のように個体ごとに異なり、個体識別に利用できる。マリコたちは数十頭の牛から鼻紋を採取して照合し、見事に“目撃牛”を特定した。
目撃牛は、高品質のミルクを出すことで知られる牛・マリリンだった。この特定により、それまではっきりとしていなかった殺害現場も明らかになり、事件捜査は一気に進展する。
マリコは牛の鼻紋鑑定を手がかりに、事件の状況や犯行の痕跡まで明らかにしていく。随所で牛に関する知識も披露するなど、彼女のカバーするフィールドの広さにも驚かされる。
百戦錬磨のマリコたちですらも、言葉を話さない動物が相手では一筋縄ではいかない。しかし、事件解決のためには立ち止まれない。だからこそあらゆる科学的手段を使って、動物との“対話”を試みるのだ。
動物の習性や身体的な特徴を科学的に分析し、事件解決の糸口を見つけ出すマリコたち。これらの“動物エピソード”は、難事件の謎解きに加えて動物の知識も深められる点で、シリーズの中でも独特の魅力を放っている。


