■感情ダダ漏れ、まさかの親バカ化『僕のヒーローアカデミア』エンデヴァー
堀越耕平さんの『僕のヒーローアカデミア』に登場するエンデヴァー(本名:轟炎司)ほど、読者から強い嫌悪を向けられ、同時にその“変化”に注目が集まったヒーローも珍しいだろう。
若き日の彼は、No.1ヒーローであるオールマイトを超えるという野望に囚われ、息子・焦凍を「最高傑作」と呼び、虐待に近い過酷な訓練を課してきた。その姿は、父親というより目的のために家族を利用する支配者に近かった。
しかし、オールマイトの引退により、名実ともにNo.1ヒーローとなった彼は、自身の在り方、そして過去と向き合い始める。焦凍に対し「誇れるNo.1になる」と誓い、「俺を見ていてくれ」と告げた場面は、かつての傲慢な彼とは明確に一線を画すものだった。
そして、アニメ第95話「第3試合」で、抑え込まれていた感情が思わぬかたちで噴き出す。焦凍の連絡先を登録できただけで舞い上がり、メッセージを連投。「既読スルーするな!」「焦凍ォォォ!!!」と感情を爆発させる姿は、同僚ヒーローからをドン引きさせるほどのものだった。
第102話「いざ!エンデヴァー事務所!」では、緑谷出久・爆豪勝己、そして息子の焦凍がインターンとしてエンデヴァー事務所を訪れる。出迎えた瞬間「焦凍だけで来てほしかった!」と本音をポロリ。爆豪にも「きちィな」と呆れられる始末で、もはやかつての冷徹な父の面影はどこにもない。
そんな不器用すぎる親バカぶりをさらけ出しつつも、このインターンを通じて、彼はNo.1ヒーローとしての覚悟をその背中で示していくのであった。
このキャラ崩壊とも言える豹変は、長い贖罪の末にようやく表に現れた“父親”としての素顔にほかならない。過去の過ちも含め、どうしようもなく不器用な人間であることが伝わってくるからこそ、その姿は強く胸を打つ。そういった人間臭さこそがエンデヴァーというキャラクターを、オンリー1の存在へと変えていったのである。
完璧に見えるキャラクターのクールな仮面が剥がれる瞬間、そこには単なる笑いを超えた人間味が宿る。今回紹介した3人の「キャラ崩壊」は、彼らが守るべき大切な存在を見つけ、人間らしい心を取り戻した証でもあった。
クールな仮面の裏に隠された、熱く不器用な素顔。そのギャップに触れるたび、我々読者は彼らをより深く愛してしまう。愛すべきキャラ崩壊シーンから、今後も目が離せない。


