人気クールキャラたちが見せた「驚愕のキャラ崩壊」 『名探偵コナン』灰原哀に『ドラゴンボール』ベジータ、『ヒロアカ』エンデヴァーも…の画像
DVD『ドラゴンボール改 3』(ハピネット) (C)バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 物語をクールに引き締める冷静沈着なキャラクターたち。どんな窮地にあっても感情を乱さず、理性的に状況を打開しようとするその姿は、読者の憧れでもある。それと同時に、物語全体の空気感を支え、作品の印象を大きく左右する重要な存在だ。

 しかし、そんな完璧にも見える彼らが、ふとした拍子に見せる予想外の言動や感情の噴出は、いわば「キャラ崩壊」と呼びたくなる瞬間であり、時に本編の名場面を塗り替えるほどの強烈な印象を残すことがある。

 今回は人気作の中から、クールなキャラクターが見せた「キャラ崩壊」の名シーンを厳選して紹介する。その意外すぎるギャップが、いかにキャラクターの魅力を深めてきたのかを振り返ってみたい。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■推しの前では恋するオタク『名探偵コナン』灰原哀

 まずは、青山剛昌さんの『名探偵コナン』より、灰原哀を紹介したい。

 彼女はかつて「黒ずくめの組織」に身を置く科学者・シェリーとして、常に冷静沈着に振る舞ってきた。薬の影響で子どもの姿となり、灰原哀として生きるようになってからも、どこか世捨て人のような虚無感を漂わせていた。

 しかし、物語が進むにつれ、彼女は少しずつ“普通の女の子”らしい感情を取り戻していく。その過程に心を射抜かれたファンは少なくないだろう。

 その変化を象徴するのが、アニメ第822・823話で描かれた「容疑者は熱愛カップル」のエピソードである。

 彼女が大ファンのJリーガー・比護隆佑と、人気アイドル・沖野ヨーコの熱愛疑惑を知った瞬間、灰原の理性はあっけなく崩れ落ちる。顔面蒼白で目には涙を浮かべ、完全に呆然自失。ふだんであれば感情を抑え、冷静に状況を分析する彼女の面影はそこにはなかった。

 さらに意外だったのは、ヨーコの熱烈なファンである毛利小五郎と利害が一致し、共闘する展開である。真相を追う動機は正義感ではなく、ただ“推し”のため。血眼になって奔走する姿は、ミステリアスな天才少女という従来のイメージを大きく覆した。

 このキャラ崩壊は、アニメの第925・926話「心のこもったストラップ」でさらに加速する。

 比護選手のぬいぐるみストラップを失くした瞬間、灰原は魂が抜けたかのように完全フリーズ。少年探偵団が必死にストラップを捜索する一方、灰原は阿笠邸で白目をむいたまま放心状態に陥るという、異例の醜態をさらしたのだ。

 だが、このキャラ崩壊こそ、常に「黒ずくめの組織」に怯え続けてきた彼女が、心から気を許せる仲間や居場所を見つけた何よりの証ともいえる。だからこそ、滑稽ともとれる意外な姿も尊く、愛おしく映るのだ。

■王子、歌って踊る…!?『ドラゴンボール』ベジータ

 鳥山明さんの名作『ドラゴンボール』にも、そのキャラ崩壊ぶりでファンを驚かせたキャラがいる。それが、戦闘民族サイヤ人の王子としての誇りを何よりも重んじるベジータだ。しかし『ドラゴンボール超』で描かれたある出来事は、そのイメージを鮮やかに塗り替えることとなる。

 映画『ドラゴンボールZ 神と神』で地球に襲来した破壊神ビルス。彼は気まぐれひとつで星を消し飛ばす存在である。ベジータは幼少期、父・ベジータ王がビルスに屈辱的な扱いを受ける光景を目の当たりにしており、その恐ろしさを誰よりも深く理解していた。

 ひょんなことからブルマの誕生日会に参加したビルスは、酔った孫悟飯の失態によってその怒りが爆発し、地球破壊の危機が訪れてしまう。ただ1人、その危険を察知していたのがベジータだった。

 絶対的な力の差を認識していたベジータは、プライドを捨ててビルスの機嫌をとることを選択。なんと自らステージに上がって歌い踊り、ビンゴ大会を盛り上げるという、かつての彼からは想像もつかない行動に出るのだ。

 さらにアニメ『ドラゴンボール超』第6話「破壊神を怒らせるな! ドキドキ誕生パーティー」では、ビルスのお気に入りであるタコ焼きを鉢巻き姿で必死に焼く姿まで描かれ、なりふり構わぬ必死さは、どこか健気にすら見えた。

 しかし、プリンを巡ってビルスはついに激怒。妻・ブルマが毅然と説教を始めるも、返り討ちにあい、傷つけられてしまう。その瞬間、ベジータは恐怖を乗り越え、怒りを爆発。「よくも俺のブルマを!」と破壊神に挑むその姿は、王子としての矜持ではなく、愛する妻を傷つけられた1人の夫としての純粋な怒りに満ちていた。

 プライドを捨てて道化を演じたコミカルなキャラ崩壊と、家族のためなら神にすら牙を剥く激しい怒り。その両極端な姿こそが、孤高の王子・ベジータにより深い人間味を与えた。

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