冬アニメ『ダーウィン事変』は“令和の寄生獣”? 人間の常識を揺さぶる「ヒューマンジー」チャーリーが問いかけるものとはの画像
TVアニメ『ダーウィン事変』メインビジュアル (C)2026 うめざわしゅん・講談社/「ダーウィン事変」製作委員会

 2026年1月からTVアニメが放送される『ダーウィン事変』が、ネット上で大きな注目を集めている。同作は「マンガ大賞2022」の大賞を受賞した、うめざわしゅん氏による人気漫画が原作。その魅力は「半分ヒト、半分チンパンジー」な主人公を通じ、人間社会のあり方や「常識」に鋭い問いを投げかける点にある。

 今回は1月からのアニメ放送開始前に、あらためて本作のストーリーや魅力を振り返っていこう。

 

※本記事には作品の内容を含みます。

■常識を揺さぶる鋭い視点

 物語の主人公は、人間とチンパンジーの間に生まれた交雑種「ヒューマンジー」のチャーリー。15歳になって高校に入学した彼を待っていたのは、順風満帆とはいかない学園生活だった。体毛が目立ち、顔立ちもややチンパンジーらしいチャーリーのことを、誰もが「普通の生徒」として受け入れるわけではない。興味本位の視線を向けてくる者や、露骨に距離をとる者もいる。

 それでも、愛情深い人間の両親のもとで育てられたチャーリーは、普通の高校生活を送ろうと努め、友人との交流を通じて少しずつ成長していく。

 そんな彼の支えとなるのが、同級生のルーシーだ。彼女は頭脳明晰ながら学校では「陰キャ(ナード)」と呼ばれがちで、他者との関係に悩んでいる一面を持つ。しかし、チャーリーの特異性を偏見なく受けとめ、「友だち」として接する数少ない理解者である。

 体育の授業でチャーリーが異常な身体能力を披露して周囲がドン引きした際も、ルーシーだけは屈託のない笑顔で「すごい!」「本気出したらどれくらいできるの?」と称賛する。こうした何気ないひと言が、チャーリーにとって大きな救いとなるのだ。

 本作は「マンガ大賞2022」で大賞に選ばれた際、選考委員から「令和の寄生獣」とも評された。その理由が、チャーリーという「異物」の視点だ。

 「なんで 人間だけは殺して食べちゃダメなの?」「人間だけを特別にする理由があるの?」。チャーリーが人間社会の「固定観念」に疑問を投げかける構図は、名作漫画『寄生獣』の泉新一とミギーの関係性を彷彿させる。

 ミギーは感情を持たない生命体として、人間の営みを合理的に観察。「捕食」という生物の本能を通じて人間のエゴが鋭く描かれていた。本作もまたチャーリーの視点から、「正義とは?」「暴力は悪か?」「生命に優劣はあるのか?」といった問いを次々と投げかける。

 さらに、平穏な学園生活の裏では過激なテロ組織「ALA(動物解放同盟)」が暗躍。平和な日常の裏でうごめく、テロ、差別、思想の暴走などが描かれ、そういったサスペンスフルな展開もまた『寄生獣』のスリルを思わせる。

 チャーリーは非常に高い知能と豊かな共感力を持つ一方、幼少期から「異質」とみなされ続けてきた過去から、常にアイデンティティの葛藤を抱えている。それでもなお、自分の居場所を求めて周囲と向き合おうとする姿は、痛切でありながら力強い。

 

 「人間とは何か?」「差別とはどう向き合うべきか?」――人間社会の矛盾と残酷さを浮き彫りにする本作のテーマは、現代に生きる私たちへの鋭いメッセージとなるはずだ。唯一無二の世界観を持つ『ダーウィン事変』は、アニメではいったいどのように表現されるのだろうか。2026年1月の放送開始を前に、この衝撃作が投げかける問いに、今から心の準備をしておきたい。

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