■血まみれでも可愛い!? 振り切りスケバンの爆発力『血まみれスケバンチェーンソー』内田理央

 最後に紹介するのは、2016年公開の映画『血まみれスケバンチェーンソー』で内田理央さんが演じた主人公・鋸村ギーコである。このキャラクターは、「スケバン」という既存イメージを思い切り塗り替えた存在だ。

 本作は、原作漫画を手がけた三家本礼さんが描く独特の世界観を反映しており、ギーコのビジュアルも実に強烈。黒髪ロングに黄色いリボンのセーラー服、足元には下駄を履き、そしてギターケースに忍ばせた巨大チェーンソーを武器とする。この圧倒的な組み合わせは、ひと目で忘れがたい存在感を放つ。

 そんなギーコが向かう先は、改造死体となったクラスメイトが溢れる学校だ。しかも、彼女の目的は“追試を受けるため”という、とんでもなく常識離れした奇抜な設定であった。

 内田さん自身は、“中学生の頃は不良にちょっと憧れたことはあったけど、実際は真面目に過ごした”と語っており、ギーコとは真逆の性格である。それでも、“マンガから飛び出したような感覚で振り切れた”と、この役に全力で挑んだことを明かしていた。

 戦闘が始まれば、チェーンソーの唸るエンジン音に飛び散るスパーク、ギーコはゾンビ化したクラスメイトを相手に、巨大チェーンソーを容赦なくぶん回す。白いセーラー服が瞬く間に返り血で真っ赤に染まり、普段の内田さんからは想像できない鬼気迫る表情で突き進む姿は、まさに圧巻であった。

 圧倒的ビジュアルに過激なスプラッターアクション。内田さんが体当たりで演じきった鋸村ギーコは、現実ではまず出会えない唯一無二のスケバンキャラクターであった。

 

 現代の街中では見かけなくなったスケバン文化だが、映像世界の中では今も新しい形で息づいている。橋本環奈さんの「最強ギャップ」、松浦亜弥さんの「クールな新世代像」、内田理央さんの「常識外れのバイオレンス」。3者3様の魅力がありながら、いずれも「可愛すぎる」と言わずにはいられない。

 時代が変わっても、スケバンはただの不良少女ではなく、強さと可愛さの両方を秘めた特別なキャラクターとして描かれ続ける。今後も、きっとどこかの作品で“新しいスケバン女子”が誕生するはずだ。その瞬間を楽しみに待ちたいものである。

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