■学ランとセーラー服で大混乱!『機界戦隊ゼンカイジャー』学園監禁攻撃

 最後に紹介するのは、シリーズ第45作『機界戦隊ゼンカイジャー』から、第33話「グレートティーチャー鬼使い!」だ。このエピソードは、学園ドラマを丸ごと戦隊バトルに落とし込んだ異色回である。

 ワルド怪人・ガクエンワルドの能力によって、五色田介人(ゼンカイザー)たちゼンカイジャーは突如、ガクエンワルドが校長を務める異空間「トジテンド学園」に閉じ込められ、強制的に生徒にされてしまう。

 この学園では、ガクエンワルドを含む教師への攻撃が一切通用せず、落第すれば一生ここから出られないという理不尽なルールが存在する。さらに、敵の戦闘員を育成する“クダック養成授業”まであるなど、世界観も制度もひたすらクセまみれ。まさに何でもありの『ゼンカイジャー』らしいカオスな空間が広がっていた。

 一方で、学ランやセーラー服に身を包んだキカイノイドたちの姿はどこか微笑ましく、特に、介人の祖母である五色田ヤツデ役・榊原郁恵さんが、まさかのセーラー服姿で登場したシーンは、多くの視聴者の度肝を抜いた。

 そしてクライマックスでは、校長役のガクエンワルドをおびき寄せるため、ゼンカイジャーたちがまさかの不良スタイルで大暴れ。いつもは爽やかイケメンの介人が、リーゼントに白の短ラン姿でキレッキレのヤンキー芝居を披露する姿は圧巻である。その振り切れ方は強烈で、まさに『ゼンカイジャー』の真骨頂ともいえる迷(?)シーンとなった。

 

 どんな強敵にも果敢に立ち向かうヒーローたちが、時には理不尽でコミカルな攻撃に振り回され、そのドタバタ劇すら笑いに変えてしまう。そんな“遊び心”こそが、『スーパー戦隊シリーズ』の大きな魅力の1つだろう。

 全力で戦い、全力でふざける。その人間味溢れる姿が、ヒーローたちをより身近で愛おしい存在にしてくれているのだと思う。

 放送開始から50年もの歴史を持つ『スーパー戦隊シリーズ』は、今期をもってついに幕を閉じる。長く続いた物語の最後に、これまでの笑いと勇気をもう一度噛みしめたい。

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