波風ミナト、花京院典明、アイザック=ネテロが世界に残した光明…「ジャンプキャラ」が尊い犠牲とともに放った“決定打”の画像
『HUNTER×HUNTER ハンター ハンター キメラアント編 17 Vol.41』(バップ)(C)POT(冨樫義博)1998年-2011年 (C)VAP・日本テレビ・集英社・マッドハウス

 『週刊少年ジャンプ』(集英社)に掲載された漫画には、自身の命を賭して仲間や世界を救い、読者の胸を熱くさせたキャラクターが数多く存在する。中には、その場での活躍だけにとどまらず、後に巨悪を討つための“決定打”となるほどの功績を残した者もいる。

 彼らの尊い犠牲は、物語をより深く感動的なものへと昇華させる。今回は、そんな作品の“分岐点”として読者の心に刻まれた、散ってなお未来を切り拓いたキャラクターの功績を紹介していこう。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

■自身の命と引き換えに世界を救った者たち

 まず挙げたいのが『NARUTO-ナルト-』の波風ミナトだ。尾獣・九尾襲来という木ノ葉隠れの里にとって最大級の危機の中、ミナトは幼い息子ナルトに重すぎる運命を背負わせることへの葛藤を抱えながらも、彼の身体に九尾を封印し未来を託すという決断を下す。

 作中でも大きなターニングポイントとなったこの判断は、後に忍界大戦の結末にまで影響を及ぼすことになる。九尾のチャクラをナルトに封印する際の表情や柔らかく話しかける口調には、火影としてだけでなく、父親としての覚悟や愛も凝縮されており、何度読んでも胸が締めつけられる瞬間だ。

 続いて『ジョジョの奇妙な冒険』第3部の花京院典明。彼はDIOとの決戦で致命傷を負うが、死にゆく中で必死に思考を働かせ、「ザ・ワールド」の能力が“時間停止”だと見抜いた。そして最後の力を振り絞り、エメラルドスプラッシュで時計塔を撃ち抜く。これによって “時が止まる”という重要な情報を伝え、知性派キャラならではの活躍を見せた。

 花京院のこの一撃は、ジョセフ・ジョースターや空条承太郎がザ・ワールドの能力を看破し、DIOに対抗する突破口へとつながる。仲間との絆の深さを強烈に知らしめたこの場面が、第3部を屈指の人気シリーズに押し上げた要因の1つになったのは間違いない。

 『HUNTER×HUNTER』のアイザック=ネテロは、“人類最強”クラスの武人の意地を貫き、キメラ=アントの王メルエムとの戦いに全身全霊を捧げて挑んだ。だが、「百式観音」の連撃や奥の手「零の掌」すらも、進化し続ける王には通用しなかった。

 万策尽きたかに見えたその瞬間、ネテロが発動させたのが「貧者の薔薇(ミニチュアローズ)」。それは心臓が停止すると同時に作動する兵器であり、老いた武闘家はその起爆スイッチを“自分の命”に託していた。薔薇の毒は王の細胞を確実に侵し、最強の存在を静かに葬り去る。人類を守るために生涯を締めくくったネテロの覚悟が世界を救ったのである。

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