■家族の存在にびっくり!喪黒福造、鶴見中尉

 漫画作品には一度見たら忘れることのない、強烈な個性を持つキャラクターが数多く登場する。

 例えば、藤子不二雄Aさんの手掛ける『笑ゥせぇるすまん』の主人公、全身黒ずくめのセールスマン・喪黒福造は、どんなときも笑みを絶やさない不気味なビジュアルで見る者に強烈なインパクトを残す。

 どこか怪物然とした彼だが、ブリヂストンが発行した2017年のコラボカレンダーのなかで不意に子どもの存在が示唆され、往年のファンたちの意表をついた。

 そこには、晴れ渡る空の下で3人の子どもたちと共にサイクリングを楽しむ喪黒の姿が……。

 相変わらず黒一色のセールスマンスタイルでありながら、満面の笑みを浮かべたまま子どもを乗せた自転車を漕ぐ姿はなんともシュールな光景である。子どもたちは実に楽しそうな笑顔を浮かべており、喪黒の意外な良きパパぶりを垣間見ることができるのだ。

 また、明治末期の北海道を舞台に、金塊争奪戦を描いた野田サトルさんのサバイバル漫画『ゴールデンカムイ』においても、意外なキャラが父親だったことが明かされた。

 それが、大日本帝国陸軍第七師団に所属する鶴見篤四郎だ。彼は頭脳明晰な指揮官だが、激昂すると容赦ない残忍ぶりを発揮。相手の指を食いちぎるなど、エキセントリックな行動を見せる人物として描かれている。

 敵役として型破りな活躍を見せる鶴見だが、作中では、彼がかつて名前と身分を偽り、開戦前のロシア国内で諜報活動をおこなっていたことが判明。なんとその際、ロシア人の女性と結婚。1人娘のオリガを授かっており、温かい家庭を築いていた。

 奇人とした振る舞いが特徴的な鶴見だが、彼にも愛する家族を持つ父親としての過去があったことに、驚愕した読者も少なくなかっただろう。

 

 キャラクターたちの力や意思を受け継ぐ子どもの登場は、作品のファンにとっては嬉しい見どころの1つだろう。

 今回紹介したキャラクターたちは、主人公の強力なライバルや冷酷な悪役、さらには人間離れした存在など、いわゆる「父親」というイメージとはかけ離れた者ばかりだった。そんな彼らに子どもがいたという事実は、キャラクターたちに意外な人間味を与え、物語をより一層面白くしている。

 もし、彼らの子どもたちが成長したら、どのような存在になっていくのだろうか。思わず、その先に待つ「if」の展開を想像してみるのも、作品の楽しみ方の1つかもしれない。

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