■同じようでどこか違う、映画館で衝撃を受けた『序』

 まず熱心な『エヴァ』ファンが真っ先に気づいたのは、葛城ミサトらの所属するネルフのロゴが変わっていることだろう。なんだか複雑なロゴになっており、フォントも異なっている。もちろん見慣れたイチジクの葉の従来のロゴもその後登場したのだが、これは何か別の世界なのではないかと、この時点で勘繰ったファンも多かったようだ。

 そして、登場する使徒はテレビシリーズと違って劇中で名称が呼ばれず、番号が変わっているのも気になったところ(テレビ版で第三使徒だったサキエルが『序』では第四使徒扱い、など)。使徒の番号がずれているということは、その分他の使徒が追加・削除・変更されていると考えたほうが自然だ。このことは『序』以降の物語がテレビシリーズとは大きく異なっていくであろうことを予感させた。

 このように基本的にはテレビシリーズと同じような流れで物語が進みながらも、微妙に違う『序』。決定的だったのが、テレビシリーズでは24話にのみ登場した重要人物・渚カヲルが『序』に早くも登場したことだろう。

 彼は月面にある複数の棺の1つから目覚め、「また3番目とはね。変わらないな君は」と、テレビ版などでサードチルドレンだったシンジのことを指しているであろう意味深なセリフを放つ。その衝撃のセリフからエンディングに突入し、次作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』の予告編が流れ、メガネをかけた新キャラが登場する。

 こういったカヲルのセリフなどから、いよいよループ、もしくはパラレルワールド説が濃厚となるが、確かに『序』作中では『Air/まごころを、君に』の終盤のようにすでに海が赤くなっていたり、崩壊した町に白線で人型が描かれていたりした。「基本は同じ展開なのにそこかしこから違和感を感じる」作りになっており、謎が謎を呼ぶ『新劇場版』の幕開けだった。

 それにしても『新劇場版:序』の公開から18年。自分が大人になってから改めて見ると、シンジに対する周囲の大人たちの態度があまりにも無慈悲に感じる。

 初号機への初搭乗からヤシマ作戦までが描かれる『序』で、シンジはよりヒーロー的なキャラ性が強調されており、全人類を救う人物としてみんなの期待を一身に背負わされる。

 父・ゲンドウに会いにきただけなのに、「エヴァに乗らないなら帰れ」と言われたり、それを拒否したら全身傷だらけの少女を目の前に担架で運んで見せたり。何もわからず困惑していると、さっきまで優しかったミサトさんまで「何のためにここにきたの?」と言ったり。使徒の攻撃も、より苛烈に描かれている分、本当にかわいそうに感じた。

 ただし、シンジだけがつらい思いをしているのではなく、ネルフの職員もサードインパクトが起きそうになれば自爆をする覚悟があるということも本作で語られる。ここでミサトがシンジを伴ってネルフの最下部に連れて行ったのは、今作が初めてのことだ。テレビシリーズではリリスがここにいることも一部の人間しか知らされていなかった。

 改めて『序』を振り返ってみると、テレビシリーズにあったシーンと新たなシーンがうまく融合しており、なんとも新鮮な気持ちで見られた。

 いよいよ12月12日から『破』の上映が始まるが、『序』をさらに上回る驚きの展開が待ち受けている。当時大きな衝撃を受けた作品を、今改めて新鮮な気持ちで鑑賞できることが楽しみでならない。

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