荒木飛呂彦氏による人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(以下『ジョジョ』)。その第7部にあたる「スティール・ボール・ラン」がNetflixにてアニメ化され、2026年に配信されることが発表された。
この「スティール・ボール・ラン」の舞台は、1890年のアメリカだ。かつて天才騎手と呼ばれながらも事故で半身不随となり、失意の中にいたジョニィ・ジョースターが、人類史上初の乗馬による北米大陸横断レース「スティール・ボール・ラン」に参加するという物語である。すでにティザー映像やキャスト情報も解禁されており、ファンの期待は高まるばかりだ。
そんな『ジョジョ』といえば原作漫画の人気もさることながら、2012年より始まったアニメシリーズの、映像作品ならではの手法を利用した神がかった演出も賞賛されている。漫画の内容をさらに見やすく、分かりやすく表現する描き方がファンからの信頼を集めているのだ。
今回は、来るべき「スティール・ボール・ラン」への期待を込めて、歴代『ジョジョ』のアニメシリーズで見られた、身震いするほど秀逸な演出を振り返りたい。
※本記事には作品の内容を含みます
■ファンの度肝を抜いた「特殊オープニング」
まずは、アニメ『ジョジョ』の醍醐味ともいえる「特殊オープニング」である。
スタンド能力によるバトルが中心となる第3部以降のシリーズでは、最終回が近くなると、ラスボスの能力に絡めた特殊な演出がオープニング映像に挿入されている。通常のオープニングとは音声や作画などが変化し、アニメならではの見どころの1つだ。
第3部「スターダストクルセイダース」第47話では、謎に包まれていたDIOのスタンド「ザ・ワールド」の能力が“時を止める”ことだと判明する。この回のオープニングでは、終盤でDIOが「ザ・ワールド!」と叫んだ瞬間、映像と音楽が完全にストップし、静寂が訪れた。
時が止まった世界の中をDIOは悠々と歩き、時が再び動き出すと同時に主人公・空条承太郎の「スタープラチナ」と「ザ・ワールド」が激しいラッシュを繰り広げ、オープニングが終了する。この予期せぬ演出に、初見のファンはいったい何事だと驚いたことだろう。
続く第4部「ダイヤモンドは砕けない」でも、視聴者を驚かせる演出が用意されていた。本作では、主人公・東方仗助らが、殺人鬼・吉良吉影から街を守るというストーリーが繰り広げられる。
吉良は触れたものを爆弾に変える「キラークイーン」と、その能力から派生した遠隔自動操縦型の第2の爆弾「シアーハートアタック」、第3の爆弾「バイツァ・ダスト」を操る。作中、特にやっかいだったのが、“爆破とともに1時間ほど時間を巻き戻す”能力を持つ「バイツァ・ダスト」だ。
物語終盤での第36話では、通常通りオープニングがスタートしたと思いきや、吉良が右手のスイッチを押した瞬間、突如アニメーションが逆再生されるという、まさに「バイツァ・ダスト」を体現した演出がなされた。吉良の強さと、能力の恐ろしさが存分に表現された、おしゃれな演出だった。
さらに、第5部「黄金の風」のオープニングは2度変化する。
1度目は、ラスボス・ディアボロのスタンド「キング・クリムゾン」の能力が判明したタイミングだ。曲のサビ直前で能力が発動し、オープニング映像の一部が停止。その間にディアボロが、自身が“神”であるかのようなセリフをイタリア語で語るというものだ。“時間を吹き飛ばすことができる”「キング・クリムゾン」の能力が、見事に演出されていた。
そして2度目は、主人公ジョルノ・ジョバァーナのスタンド「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」が成長した時に起こる。
この能力は“攻撃してくる動作や意思の力をゼロに戻す”というもの。オープニング内ではサビ直前で「キング・クリムゾン」が時間を消し飛ばした後、ジョルノの「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」の能力が発動。この時間を飛ばす演出自体を「なかったこと」にしてしまう。
本編の能力を巧みに、そしてカッコよく再現されるこれらの特殊オープニングは、ファンにとっても楽しみの1つとなっている。


