黒塗りされた卒業アルバムを発端とする連続殺人事件を描く『良いこと悪いこと』(日本テレビ系)。いよいよ最終章に突入した物語はいっそう緊張感を増しており、視聴者たちの考察にもますます熱が入っている。
先週11月29日は放送がなかったが、TVerで『TVerオリジナル座談会「#イイワル 考察」スペシャル!』が公開され、ファンの注目を集めた。
6日に放送される第8話では、物語のキーワードのひとつである「7人目」の正体が明らかになるとみられる。しかしその一方で、作中には他にもまだ明かされていない「謎」が数多く存在する。今回はその中から、特に気になるものをあらためて整理してみたい。
※本記事は『良いこと悪いこと』第7話までの内容を含みます。
■主人公サイドなのに怪しいあの人たち
「キング」こと高木将(演:間宮祥太朗さん)は主人公であるにもかかわらず、何かと怪しい描写の多い人物である。先に挙げたオリジナル座談会の中でも触れられていたが、昔の高木と今の高木は何らかの方法ですり替わった別人なのではないかという「別人説」までささやかれるほどだ。
その根拠のひとつとされているのが、第3話にて高木が「東京湾で男性とみられる遺体が発見された」というニュースを異様なほど食い入るように見つめていた場面。この遺体が本物の高木であり、今高木として生きている人物はまったくの別人ではないか、と考察する視聴者もいるのである。
この「水死体」については座談会内でも深掘りされており、それが高木かどうかはさておき、その正体が今後の展開に深く関わってくるのは間違いないだろう。
また、高木と妻・加奈の関係性が一貫してぎくしゃくしているのも意味深である。第8話の予告では、加奈が「私は父親の話をしてるの」と言い放つ場面もあり、彼女の真意が明かされることが期待される。
さらに、第1話に出てきた高木宛とみられる「タイムカプセルの会のご案内」のハガキにも「謎」がある。そこには「2004年(平成16年度)に卒業した皆様を対象に」と記載があるが、高木たちは2003年(平成15年)卒業生である。ハガキは結構な時間はっきりと映されていたので、単なるミスとは思えず、何らかの意図があるはずだ。ここにも事件に関係する秘密が隠されているのだろうか?
「ターボー」こと小山隆弘(森本慎太郎さん)もまた、高木と同じくらい疑われている人物のひとりだ。それもそのはず、彼はこれまでの事件の法則でいけば、とっくに殺されていてもおかしくない存在なのだ。
ターボーは一度命を狙われたものの、それ以降、身に危険は及んでいない。二度にわたる襲撃を受け、命を落とした「カンタロー」こと桜井幹太(工藤阿須加さん)を考えれば、これは不可解である。
加えて、襲撃を受けた時の態度が不自然だったことから“自作自演”が疑われており、真犯人または共犯者とみる視聴者も少なくない。
また、第3話で猿橋園子(新木優子さん)が話していた、小山にまつわる「黒い噂」についても結局明かされていないままだ。本当にただの噂に過ぎないのか、実際に大きな闇を抱えているのか。この謎もまた、事件と深く結びついている可能性がある。
■やたらとちらつく“薬物”の存在
これまでのエピソードを思い返してみると、作中で“薬物”が存在感を放っていることに気付かされる。第2話では「ニコちゃん」こと中島笑美の彼氏が薬物の元締めであり、その行方を園子の同僚・東雲晴香(深川麻衣さん)と後輩の松井健(秋谷郁甫さん)が追っていた。
また、第1話で出てきた「委員長」こと小林紗季(藤間爽子さん)の将来の夢の絵には、政治家になった彼女が「薬物乱用防止」を訴える姿が描かれていた。そして第6話では、彼女の弟が薬物関連の騒動で将来を台無しにされ、みずから命を断ったという皮肉な現実が判明する。しかも、この件には園子も深くかかわっている。
このように、出てくる場面はそれほど多いわけではないが、薬物は事件に深くかかわる要素の1つとして描かれているようにも見える。もしかしたら、水死体や小山の黒い噂も、薬物と関係している可能性も考えられる。
一方、捜査一課の刑事・宇都見啓(木村昴さん)がレトロスナック・イマクニに通っていることも「謎」のひとつだ。宇都見は、キングとともに一連の殺人事件が起こる前から同店の常連。単なる偶然かもしれないが、あるいは何らかの捜査のために通っていた、とみることもできる。イマクニといえば、店主の今國一成(戸塚純貴さん)も当初から視聴者の疑惑を集める人物。彼が単なるミスリード要員なのか、はたまた事件の関係者なのかも気になるところである。
今回取り上げた謎はほんの一部に過ぎず、作中にはすべて挙げてはキリがないほどの「意味深描写」が散りばめられている。物語が佳境に入りつつある今、過去エピソードをあらためて観返して、気になる描写を洗い出してみてはいかがだろうか。


