尾田栄一郎氏が描く海洋冒険ロマン映画『ONE PIECE(ワンピース)』(集英社)。悪魔の実の能力や覇気など、戦闘にかかわるさまざまな要素が注目を集めているが、それらと並んで存在感を放っているのが「武器」の存在だ。
作中に登場する刀剣の中でも、名工が作成した武器には"位列"が付けられており、「業物」「良業物」「大業物」「最上大業物」など、それぞれランク分けされている。
世界最強の大剣豪、ジュラキュール・ミホークが手にする「夜」、"白ひげ"エドワード・ニューゲートが愛用した大薙刀「むら雲切」などは最上大業物に該当し、世界にその名を轟かせる大物が所持する得物は、世界最高峰の超一級品であることが多い。
しかし、世界最強クラスの猛者でありながら「位列が不明」、あるいは「位列なし」の武器を用いている者もいる。そこで今回は、『ワンピース』の世界でも最強候補に挙がる強者が持ちながら、業物認定を受けていない武器を紹介していこう。
※本記事には作品の内容を含みます。
■手放せば伝説の武器に? ただの棒じゃない不思議な金棒
四皇だった百獣のカイドウが振るう得物の名は「八斎戒(はっさいかい)」。長らく名称不明だったが、単行本第100巻のSBSにて正式名称が明かされた。
真っ黒な鉄棒に多数の大きなトゲが打ちつけられた凶悪な見た目をしており、人型・人獣型いずれの姿でもカイドウがこれを振るえば、文字どおり「鬼に金棒」を具現化する圧倒的な威力を誇る。
身長約7メートルのカイドウとほぼ同じ全長を持つ八斎戒は、カイドウが全力で振るい、武装色、覇王色の覇気を込めた攻撃を叩き込んでも、びくともしない頑強さ。
SBSにて、尾田栄一郎先生は八斎戒について「特に位列はないですが、カイドウが手放したら伝説と呼ばれるでしょう」とコメントしていた。
カイドウほどの猛者が愛用する得物ながら、現段階では「位列なし」という八斎戒。しかし尾田先生がいうように「手放したら伝説」となるなら、最上大業物に匹敵する武器といっても過言ではない。作中に登場する他の名刀や名具と比較しても、伝説級の“格"は十分感じられる。
なお「八斎戒」とは仏教用語で、信徒が特定の日に守る八つの戒律を指す。殺生や窃盗を禁ずる内容が含まれるが、暴君かつ戦闘狂であるカイドウからすれば、到底守れない規範ばかりであり、この名称は皮肉めいている。
■世界最強の剣豪と互角の戦いを繰り広げた「謎の剣」
四皇シャンクスが長年愛用している長剣の名は「グリフォン」。外見は普通のサーベルで、身長199センチのシャンクスが自在に扱える長さ。余計な装飾を排したシンプルな見た目は八斎戒以上に地味な印象を受ける。
現時点でこの「グリフォン」に関する「位列」などの言及はなく、いつシャンクスがこの剣を手にしたのか、その由来がどこにあるのかなど不明な点が多い。
しかしシャンクスが、世界最強の剣豪ミホークと互角の死闘を繰り返してきたことは、世界中に知られている事実。そのミホークの愛刀は最上大業物にして黒刀の「夜」であり、その刃は所有者の技量も相まって剛と柔を併せ持つ最高峰の名刀だ。
その最高の剣を手にしたミホークとシャンクスが互角というなら、「グリフォン」が秘めたポテンシャルは最上大業物の「夜」に匹敵するのかもしれない。
「グリフォン」と命名された理由は謎に包まれているが、神獣に由来する名が与えられている点を考慮すると、何らかの秘密が隠されていたとしても不思議はない。のちに存在が明らかになったシャンクスの兄・シャムロックの武器は「ケルベロス」であり、こちらの剣との因果関係も気になるところである。


