■追加戦士の悲劇!『恐竜戦隊ジュウレンジャー』ドラゴンレンジャー/ブライ
スーパー戦隊シリーズ第16作『恐竜戦隊ジュウレンジャー』では、シリーズ初のレギュラーの「追加戦士」、ドラゴンレンジャー/ブライが登場する。
彼は主人公・ティラノレンジャー/ゲキの実兄でありながら、当初は敵として立ちはだかる宿命的な存在だった。さらに、“限られた命しか生きられない”という悲劇的な設定によって、当時の視聴者に深いインパクトを残したキャラクターでもある。
第40話「ブライ死の出発」から始まる三部作では、敵である魔女バンドーラがブライの死期を逆手に取り、罠を仕掛ける。怪人・ドーラガンサクが化けた偽のドラゴンシーザーに誘き出されたブライは「時の停止した部屋」を破壊されてしまい、寿命の進行を一気に解放されてしまう。彼に残された時間は、すでにわずかだった。
それでもブライは、少年・松井耕太を救うため、自らの命を削りながら戦い続ける。一方、ゲキたちジュウレンジャーはブライを救う唯一の手段である「命の水」を求めて奔走するが、その努力もむなしく、ブライはついに力尽きて倒れてしまう。
死の間際、ブライは獣奏剣、ドラゴンアーマー、レンジャーアームレットをゲキへ託し、「ゲキ…最後まで、地球を守り、子どもたちを守ってくれ……!」と最期の言葉を残して息を引き取る。そして残された「命の水」は、ブライの望み通り、耕太の命を救うために使われるのだった。
こうしてブライは、シリーズに追加戦士という新機軸をもたらすと共に、“シリーズ初の殉職した追加戦士”という悲劇的なヒーロー像を提示し、その名を強く刻むことになったのである。
今回取り上げた3人のヒーローの「殉職」は、単に衝撃的なだけの場面ではない。ヒーローが背負う覚悟、仲間を信じる心、そして“力を何のために使うのか”という、『スーパー戦隊シリーズ』の根源的なテーマが凝縮されているのだ。
だからこそ、熊野、ミカ、ブライの最期は、時を経た今、見返しても胸に残り続ける。彼らが示した「ヒーローの生きざま」は、シリーズの長い歴史の中でも特別な光を放っており、これからも伝説としてずっと語り継がれていくに違いない。


