■神の名を持つ悪魔の実の設定は初期から練られていた? バギーの意味深発言

 バギーは物語初期にルフィに敗れた後も、度重なる運が味方して王下七武海、さらには四皇にまで上り詰めた特異なキャラクターである。そんな彼が、実は物語の非常に早い段階で意味深なセリフを発していたのをご存知だろうか。

 東の海・オレンジの町でルフィたちと対峙したバギー海賊団。戦いの中、ルフィにボコボコにされた猛獣使いのモージが彼の能力について報告しようとするも、「ゴ……!!」「…げん…」(ゴム人間)としか言えずに気絶してしまう。

 一味の誰もがその意味を理解できずに戸惑う中、バギーだけは「それでのびのび戦いやがったとでも言うのか…!?」「あの野郎 『ごきげん』だと!!?」と的外れな理解を見せていた。これは当時、単なるバギーの勘違いによるギャグシーンと思われていたが、今になってみるとこのセリフが思わぬ伏線だったのではないかという説も浮上する。

 物語が進み、ワノ国編でルフィの食べた「ゴムゴムの実」が、実は「ヒトヒトの実 幻獣種モデル“ニカ”」――つまり“太陽の神”の名を持つ実だったことが判明。そのことを踏まえると、当時のバギーのセリフが妙に意味深に響いてくるのだ。

 覚醒したルフィは「のびのび」とした自由奔放な戦法を見せ、強敵カイドウ相手にも笑いながら戦い続けるなど、まさに「ごきげん」そのもの。バギーの勘違い発言は、くしくもルフィの真の力や神の名を持つ実の性質を言い当てていたのだとしたら、これは物語初期から仕込まれた壮大な伏線だった可能性も出てくる。

 もちろんバギーのキャラクター性からすれば、単なる偶然と見るのが自然である。しかし、そのバギーも四皇となった今、覚醒したルフィの戦いぶりを目の当たりにしたとき、どのような反応を見せるのだろうか。

 

 『ONE PIECE』のすごいところは、何気ない一言やギャグシーンにさえ、後の展開につながる伏線が仕込まれている点にある。

 伏線の回収開始が公式に発表されたのが2020年のこと。いまだ謎のままであったり、新たに謎が謎を呼ぶ展開があったりするものの、“黒ひげ”ティーチとロックスのような大物同士のつながりが発覚するなど、重大な情報が次々明らかになっている。

 もしかしたら長年読み続けてきたファンでさえ見逃している伏線が、物語の初期に隠されている可能性もありうる。あらためて最初から読み返してみたら、また新たな発見があるかもしれない。

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