『ワンピース』クザンに黒ひげ、バギーの意味深発言…今あらためて見たら意味が変わりそうな「気になるセリフ」3選の画像
DVD「ONE PIECE Log Collection “FOXY”」(エイベックス・ピクチャーズ) (C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 尾田栄一郎氏による大人気少年漫画『ONE PIECE』(集英社)。アツいバトルや人間ドラマが魅力の本作だが、世界観や人物の背景に関する伏線が各所に散りばめられており、その回収がいつ行われるのかも見どころの1つである。

 そんな伏線に関係していそうなのが、キャラクターたちがこれまでに残したセリフだ。何気なく発せられたように見える言葉が、あとになって重要な意味を持っていたことに気づかされるケースも珍しくないのだ。

 しかもそういった意味深なセリフは、重要な立ち位置の人物が語ることが多い。そこで今回は、今読み返すと特に意味深に聞こえる重要キャラのセリフを取り上げ、その裏に隠されていそうな“真の意味”について考察していこう。

 

※本記事には、『ワンピース』の核心部分の内容も含みます。

■素性はすべて知っていた? 初登場時のクザンのセリフ

 ロングリングロングランドで初登場した、当時の海軍本部大将“青キジ”ことクザン。海軍の最高戦力と評されるうちの1人だが、海賊を目の前にしながらダラけた姿を見せるなど、どこか抜けた第一印象だった。

 自身の能力で海を凍らせて遭難していた者を助けたのち、彼は麦わらの一味の危険性をあらためて認識する。特に、ニコ・ロビンがかかわった集団がことごとく壊滅してきた事実を重く見て、一味の即時殲滅を決意した。

 その際、「政府はまだまだお前達を軽視しているが…」「細かく素性を辿れば骨のある一味だ」「少数とはいえ これだけ曲者が顔を揃えてくると 後々面倒な事になるだろう」と、やけにこと細かく評価。この発言の時点では一味のメンバーに関する情報は限られており、その経歴や血筋はほとんど不明だったにもかかわらず……である。

 当時判明していた素性といえば、ウソップの父ヤソップが赤髪海賊団の狙撃手であること、サンジがゼフの経営する海上レストラン・バラティエのコックだったこと、そしてロビンが「悪魔の子」と呼ばれた経歴くらいで、詳細な背景はほとんど分かっていなかった。

 しかし、後にモンキー・D・ルフィが海軍の英雄にしてクザンの恩師でもあるガープの孫であり、革命家ドラゴンの息子であることが判明する。さらにクザンのセリフが一味全体に向けられていたことを考えると、彼はルフィだけでなく、他のメンバーの背景を把握していた可能性が高い。

 事実、のちにサンジがジェルマ王国の王族・ヴィンスモーク家の三男であったことや、96巻SBSではゾロが霜月一族および刀神「リューマ」の末裔であることも発覚。初登場時点ではこれらの情報が公になっていなかった以上、クザンの発言からは海軍上層部だけが握っていた“特別な情報”を得ていた可能性が浮かび上がってくる。

 また、その後仲間となる元王下七武海・ジンベエの「元タイヨウの海賊団2代目船長」という経歴は、当然ながら海軍も把握していただろう。しかし、その素性に踏み込む動きもあるブルックの過去や、いまだ謎の多いナミの出自についても、クザンは何かを知っていたのではないか。

 クザンの発言は、いろいろ明らかになった現段階になってみると、そうした未来の展開までも見越していたかのような深みが感じられる。

■白ひげの「息子」という意味だけではなかった? 頂上戦争時の黒ひげのセリフ

 白ひげ海賊団2番隊に所属していたマーシャル・D・ティーチは、「仲間殺し」の大罪を犯して脱退した裏切り者である。その後は黒ひげ海賊団を結成し、ドラム王国の襲撃やポートガス・D・エースの拿捕、そして王下七武海への加入と、破竹の勢いで海賊としての地位を駆け上がっていった。

 マリンフォード頂上戦争では、かつての船長である“白ひげ”エドワード・ニューゲートと対峙。「ヤミヤミの実」の能力で優位に立ったかに見えたが、白ひげの薙刀の強烈な一撃であっという間に窮地に陥る。このとき、黒ひげが叫んだのが「俺は息子だど(ぞ)」というセリフだ。

 当時これは、海賊団の掟を自ら破ったにも関わらず、息子扱いを求める“浅ましい命乞い”として受け取った人が多いはず。しかし後の展開を知ってしまうと、この言葉には別の意味があった可能性も浮上してくる。

 第1154話にて“黒ひげ”ティーチが、ロックス海賊団の船長ロックス・D・ジーベックの息子であることが判明したためだ。ロックスといえば世界最強と謳われた男であり、若き日の白ひげはロックス海賊団の初期メンバーだった。つまり、黒ひげの父親であるロックスと白ひげは短くない期間をともにし、互いをよく知る間柄だったと考えられる。

 この背景を踏まえてから、黒ひげが叫んだ「俺は息子だぞ」という言葉を聞くと、単に白ひげ海賊団に所属していたメンバーを意味する“息子”ではなく、「俺は(ロックスの)息子だぞ」という意味にも受け取れないだろうか。

 白ひげが、ロックスと黒ひげの血縁関係を知っていたかは分からないので確証は持てないが、どちらかというと、そう受け取ったほうが自然に見えてくる意味深なセリフである。

 黒ひげの発言はただの命乞いではなく、白ひげの過去やロックスと黒ひげの血縁関係が絡む深い意味を持っていたのだとしたら実に興味深い。

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