1977年に連載が開始された松本零士さんの不朽の名作『銀河鉄道999』には、 主人公・星野鉄郎と謎の美女・メーテルを苦しめる、強力な機械化人(機械人間)たちが登場する。
その筆頭が、第1話に登場する「機械伯爵」だ。彼は鉄郎の母を“人間狩り”と称して射殺し、その亡骸を剥製にして飾るという残虐非道な人物だった。
しかし、本作に登場する恐ろしい敵は、機械伯爵だけではない。今回は、鉄郎とメーテルを窮地に陥れた、作中屈指の個性豊かで恐ろしい機械化人たちを振り返ってみたい。
※本記事には作品の内容を含みます
■投影装置でメーテルを射抜き鉄郎を激高させた…「暗黒星メフィストの黒騎士」黒騎士
まずは、原作漫画の序盤に登場する「暗黒星メフィストの黒騎士」のエピソードを紹介したい。
この星をたった1人で支配する「黒騎士」と呼ばれる機械化人は、旅人が自分の星に降りることを許さない。そのため、停車時間を列車内で過ごそうとするメーテルだったが、鉄郎は誤って列車のドアを開けてしまい、外に転げ出てしまうのだった。
その瞬間、黒騎士が鉄郎に襲い掛かり、彼を助けようとしたメーテルが剣のようなもので体を貫かれてしまう。激怒した鉄郎は、とっさに戦士の銃で黒騎士を撃つのだった。
メーテルが一瞬で串刺しにされてしまうという衝撃的なこのシーン。しかし、これは黒騎士の体に搭載されていた投影装置に映し出された幻影であり、鉄郎はまんまと騙されたことになる。幻覚によって相手を欺く能力を持つ機械化人は、作中でも非常に珍しい存在だろう。
鉄郎が撃った黒騎士の本当の姿は、ブリキの缶などを寄せ集められて作られたみすぼらしい姿をしていた。姿を見られた黒騎士は自らの悲惨な生い立ちを語り、死に際にみじめな姿を晒し、「機械の体といってもいろいろあるんだぜ、よくおれの残がいを見て考えろよ」と鉄郎に言葉を遺すのであった。
黒騎士の哀れな正体を知った鉄郎は、その後、車掌が「惑星メフィスト」と呼ぶのを嫌い、“黒騎士の星と呼べ”と訂正させている。黒騎士は鉄郎に機械の体になることの大変さを教え、大きな影響を与えた機械化人だった。
■メーテルと死闘を演じた機械化人「時間族の海賊」偽ハーロック
『銀河鉄道999』には、松本さんが描いてきた他作品の英雄たちがたびたび登場するクロスオーバー展開がある。
「時間城の海賊」というエピソードでは、あのキャプテン・ハーロックの名を偽る機械化人が登場した。ちなみに本物のハーロックは海賊船“アルカディア号”に乗り、自由を信条として戦う偉大な宇宙海賊だ。
巨大な大分岐点のある惑星「ヘビーメルダー」に到着した999号。そこで鉄郎は姿を消したメーテルを追い、酒場の歌手・レリューズに捕らえられ、時間城へと連行される。
そこで彼が目にしたのは、ハーロックを名乗る機械化人とメーテルが一騎打ちを繰り広げる姿だった。さらにこの偽ハーロックは鉄郎を時間の流れの中に突き落とし、鉄郎を助けたければ刃向かうことをやめろと脅すのだった。
メーテルがサーベルのような武器を手にし、命がけの戦いに挑んだこの偽ハーロック。戦闘能力が高いうえに人を過去に送り込む能力を持つなど、生身の人間では到底太刀打ちできない。
しかし最後は、鉄郎に味方をしたレリューズの助けによって砕け散った。ちなみにこのエピソードには本物のハーロックも素性を隠して登場しており、陰ながら鉄郎をサポートしている。
偽ハーロックの機械化人に苦しめられた鉄郎だったが、最後は飛び立つアルカディア号を見上げ、「キャプテン・ハーロックは男の中の男だ!!」と、本物の英雄に熱いまなざしを向けるのであった。


