ガンダム史に燦然と輝く「全弾発射」という名のロマン…「ハイマットフルバースト」に「フルオープンアタック」、そして「乱れ撃つぜ」も…の画像
ガンプラ「MG 1/100 ストライクフリーダムガンダム フルバーストモード」(BANDAI SPIRITS) (C)創通エージェンシー・サンライズ・毎日放送

 1979年放送のテレビアニメ『機動戦士ガンダム』から始まり、これまで多くの『ガンダム』シリーズの作品が生まれた。

 それぞれの主力機体は象徴的な武装を備えていることが多く、モビルスーツの名前を聞くだけでどのような攻撃か思い出すファンも多いはずだ。

 たとえば1986年放送のテレビアニメ『機動戦士ガンダムZZ』で、主人公のジュドー・アーシタが乗ったZZガンダムは「ハイ・メガ・キャノン」という大出力ビーム砲を装備。その凄まじい破壊力を秘めた一撃は、主人公機らしい派手なエフェクトが印象的だった。

 そして数ある武装の中で、残存エネルギーや残弾数を度外視して発射し、圧倒的な破壊力を見せるのが「全弾発射」系の攻撃である。

 それは持ち前の重武装をいかんなく発揮するロマンあふれる一撃であり、『ガンダム』シリーズの華ともいえるインパクトを誇った。今回はそんな「全弾発射シーン」にしびれた機体を振り返ってみたい。

※本記事には各作品の内容を含みます。

■フリーダムシリーズが魅せた全弾発射のロマン砲

 2002年放送開始のテレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』、2004年放送の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場するフリーダム系のガンダムが放つ一斉掃射を意味するのが「ハイマットフルバースト」だ。

 背部の翼「ウイングバインダー」を展開するハイマットモードと、砲撃戦に特化したフルバーストモードを同時展開した状態を指す。複数の敵を同時ロックオンするマルチロックオンシステムも稼働したフリーダムガンダムには、これから繰り出される強烈な攻撃への期待感が漂う。

 そこから一斉に放たれる5門の砲撃は規格外の大火力を誇り、敵モビルスーツの大群を一掃するほどの圧巻の攻撃に心まで撃ち抜かれたファンも多いはず。通常のビーム砲と違って、斉射時に発生するプラズマが走る演出もたまらない。

 また後継機のストライクフリーダムガンダムによるハイマットフルバーストは、無線誘導による多重砲撃兵装「ドラグーン」8門を加えた合計13門による攻撃となっている。その威力は桁外れであり、通常のハイマットフルバーストと区別するため一部のファンからは「ドラグーン・フルバースト」とも呼ばれている。

 さらにライジングフリーダムガンダムの場合は、遠隔操作によるシールドブーメランまで展開して攻撃に加わるのも特徴。同じハイマットフルバーストでも、機体によって細かなバリエーションが異なるところも見逃せない。

 このハイマットフルバーストを再現したくて、フリーダムシリーズのガンプラを購入した人も多いはずだ。『ガンダム』シリーズの中でも、屈指の「一斉射撃」のロマン砲といえるだろう。

■渋さが光るオール実弾による一斉射撃も

 1995年に放送されたテレビアニメ『新機動戦記ガンダムW』シリーズに登場するガンダムヘビーアームズとガンダムヘビーアームズ改が得意とするのが「フルオープンアタック」。この攻撃の最大の特徴は、腕部に装着したガトリングガンを主とした圧倒的な物量攻撃だ。

 1997年にリリースされたOVA『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』に登場するガンダムヘビーアームズ改は、ビームガトリングガンから実体弾に変更されている。

 つまり、Endless Waltz版ヘビーアームズ改のフルオープンアタックは、すべて実弾による一斉射撃ということだ。実弾による一斉射撃は他のガンダム作品ではあまりお目にかかれない、かなり貴重な「全弾発射」シーンである。

 大量の実弾の雨を浴びせまくって敵をなぎ倒す様子は、ビーム兵器で敵を破壊するのとは異なる渋さを感じる。そしてガトリングガンの弾が切れて、シリンダーがカラカラと空回る音は、耳心地がよく病みつきになるポイントだ。

 なお戦闘の序盤でフルオープンアタックを展開することで「残弾数は大丈夫なのか?」と心配したファンも多いと思われる。しかし、早い段階でのフルオープンアタックは、装弾数を減らして機体を軽くする意味もあるようだ。

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