■魅力的ゆえ、女性からもモテる!『ベルサイユのばら』オスカル
最後は、昭和少女漫画の金字塔である池田理代子氏の『ベルサイユのばら』から、主役のオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェを紹介したい。オスカルはその中性的な美貌とカリスマ性で、男女問わず多くの人物を虜にした。
オスカルを語る上で欠かせないのが、生涯にわたって彼女を一途に想い続けた幼なじみのアンドレ・グランディエだ。2人は紆余曲折を経て結ばれるが、そこに至るまでにオスカルは、多くの人物から求愛されている。
まずはオスカルが近衛連隊長時代の副官を務め、のちにオスカルの父の策略で許婚となるジェローデルだ。彼は女性としてのオスカルに惚れ込み、甘い言葉でオスカルに迫っている。
また、オスカル率いるフランス衛兵隊の班長であり部下であるアラン・ド・ソワソン。当初こそオスカルに反発していたが、やがて忠誠心と尊敬を超えた特別な感情を抱くようになる。さらに、フランス王太子であるわずか7歳のルイ・ジョゼフ殿下までもがオスカルに好意を持ち、死ぬ間際にオスカルにキスをするのであった。
オスカルに激しい想いを寄せたのは、男性だけにとどまらない。彼女を公私にわたって支え続けたロザリー・ラ・モリエールもまた、片思いに何度も涙している。
オスカルが持つその美しさやカリスマ性は、まさに老若男女問わず、人々を惹きつける魅力があったのだ。
1人の女性に複数人の美男子が群がるという夢のようなシチュエーションは、今も昔も変わらぬ乙女の憧れである。現実ではこうした“逆ハーレム”状態はなかなか起こらないからこそ、こうした設定の漫画が読者に非日常の幸福感を与えてくれるのは間違いないだろう。


