いくらなんでもモテすぎ! 『ときめきトゥナイト』江藤蘭世に『ベルばら』オスカルも…往年の名作少女漫画でよくあった「ヒロインの逆ハーレム」の画像
『ときめきトゥナイト』 DVD-BOX(東宝)(C)池野恋/集英社・東宝

 いつの時代も、女性の切ない恋心を描いた漫画は人気だ。近年の少女漫画は、主人公のヒロインと、その想い人との関係をゆっくり丁寧に描いた作品が多い印象である。

 しかし、昭和から平成にかけて人気を博した少女漫画は違った。過去にヒットした名作の数々は、主人公の少女を巡って学校一の美男子や異国の王子様、さらには敵役まで、ありとあらゆるタイプの男性キャラクターが熱烈なアプローチを仕掛けてくるという展開が多いのだ。つまり、往年のヒロインは、そこにいるだけで“逆ハーレム”状態を築き上げていたのである。

 そこで今回は、「どうしてそんなにモテるの!?」と思わずにはいられないほど、羨ましいモテぶりを披露した人気ヒロインたちを振り返りたい。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■ドジなヒロインが引き寄せた数々の男性たち『ときめきトゥナイト』江藤蘭世

 異世界のハンサムな王子や、イケメンのギャングボスなど、あらゆるタイプの男性を虜にしたヒロインがいる。それが、1982年から『りぼん』(集英社)で連載された、池野恋氏の『ときめきトゥナイト』のヒロイン・江藤蘭世である。

 そもそも蘭世が一途に想いを寄せているのは、同級生で“ツンデレ”の元祖ともいえる真壁俊である。2人は最終的に相思相愛になるのだが、そこに至るまでの蘭世のモテ方は凄まじかった。

 まず、俊の双子の弟で魔界の王子でもあるアロン=ルーク=ウォーレンサーが、あの手この手を使って蘭世を手に入れようとする。さらに、ルーマニアのマフィアのボスで俊とは遠縁にあたるダーク=カルロという美男子からも、熱烈に求婚されるのだ。

 それだけではない。ほかにも、俊に想いを寄せる恋のライバル・神谷曜子が差し向けた不良のモブキャラに好かれたり、魔界に住む死神・ジョルジュも蘭世に頬にキスをされただけで心を奪われかけている。さらには、蘭世の父親の小説が映画化されたときに主役を務めた少年・筒井圭吾も、蘭世に一目惚れしているのだ。こうしたキャラの多くが、本命である俊と蘭世を巡って火花を散らしている。

 蘭世は、昭和の時代によく見られた“ドジだけど一途で真っ直ぐ”という王道のヒロイン像そのものだ。そんな純粋な彼女の魅力が、人間界、魔界を問わず、多くの男性たちを惹きつけるのだろう。

■平凡な少女に夢中の美男子たち…『花より男子』牧野つくし

 神尾葉子氏の大ヒット作『花より男子』のヒロイン・牧野つくしは、一般庶民でごく平凡な少女という設定だ。しかし、超お金持ちが通う名門高校で、富と権力の頂点にいる美男子集団「F4」に目をつけられたことから、そのメンバーをはじめ多くの男性に想いを寄せられ、逆ハーレム状態になっていく。

 つくしを好きになった筆頭は、財閥の御曹司で、やがて両想いになる道明寺司である。そして道明寺の親友であり、優しさとミステリアスな魅力を持つ花沢類からもアプローチされている。タイプが異なるこの2人のどちらがいいかを巡っては、読者の間でもよく議論されただろう。

 しかし、つくしのモテぶりはこれだけにとどまらない。中学時代の同級生・織部慎吾、幼馴染でちょっと気弱な青池和也、さらには代議士の息子でありながら寿司職人を志す天草清之介など、回を追うごとにつくしに好意を寄せる男性が次々と登場する。

 つくしは彼らからの猛烈なアプローチに振り回されながらも、持ち前の“雑草魂”で逆ハーレム状態を切り抜けていく。そして、当初は犬猿の仲であったはずの道明寺と、いつしか強く惹かれ合い、恋に落ちるのであった。

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