荒木飛呂彦氏による人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険 Part3 スターダストクルセイダース』。本作では、主人公・空条承太郎をはじめとするジョースター一行が、行く先々で個性豊かなスタンド使いと死闘を繰り広げる。
多くのスタンド使いは承太郎たちが1人になった隙を狙って襲撃するのだが、中にはたった1人で、ジョースター一行をまとめて相手にしようとする強者も存在した。彼らは、素晴らしい特殊能力の持ち主で、敵ながらその活躍にワクワクしたものだ。
今回は、そんなジョースター一行をまとめて葬ろうとした、スタンド使いの強さや特長を紹介していこう。
※本記事には作品の内容を含みます
■大きな船そのものを操るスタンド「力(ストレングス)」フォーエバー
まずは、その正体にも驚かされたスタンド使いから紹介しよう。
スピードワゴン財団の船は「暗青の月(ダークブルームーン)」のスタンド使いに襲われ、ジョースター一行はボートでの漂流を余儀なくされる。そこに突如として巨大な貨物船が出現。怪しみながらも一行は乗り込んだ。
船内では計器類が作動しているものの、クルーの姿はどこにも見当たらない。ただ1頭、檻に入れられたオランウータンがいるだけだった。その直後、貨物用の大型フックが突如動き出し、水夫の1人を串刺しにしてしまう。
誰もスタンド使いの姿を見ておらず、花京院典明のスタンド「法皇の緑(ハイエロファントグリーン)」で船内をくまなく探すも、人の気配は感じられなかった。
それもそのはず、スタンド使いの正体はオランウータン(フォーエバー)であり、船そのものがスタンド「力(ストレングス)」であった。船内のあらゆるものが武器となり、扇風機の羽や窓ガラスなどを自在に操り、承太郎を吹っ飛ばすほどのパワーを見せる。
通常、スタンドは一般人には見えない。だが、このスタンドはあまりにもエネルギーが大きいため、同行していた水夫や家出少女(アニメでは「アン」)にもその姿が捉えられていた。
ジョースター一行は船内に取り込まれて動けなくなり、壁や床に体がめりこんでいく。その強力な圧迫により、胴体が切断されかねない危機的状況に陥った。
だが、承太郎は機転を利かせ、自身の学ランのボタンを外して放り投げる。“船内のすべてのものがおれの「スタンド」”と誇りを持っていたフォーエバーだが、「そのボタンはてめーの『スタンド』じゃあねーぜ」と承太郎に煽られ、激昂。その隙を突いた承太郎は反撃し、見事撃退に成功した。
ちなみにこのフォーエバー、タバコに火を点けたり、ルービックキューブを完成させたりと、高い知能を持っていたことが示唆されている。なんといっても、貨物船全体をスタンドとして操るパワーが素晴らしい。もし人間に匹敵する狡猾さが備わっていたら、ジョースター一行の冒険はここで終わっていたかもしれない。まさに強敵だったといえるだろう。
■魂を賭けたギャンブルで追い詰めた「オシリス神」ダニエル・J・ダービー
宿敵DIO(ディオ)が潜む館を探し、エジプトのカイロに到着したジョースター一行。彼らは立ち寄ったカフェで、“その場所を知っている”と語る男、ダニエル・J・ダービーと出会う。
この男こそ、魂を奪うスタンド「オシリス神」の使い手であった。彼は、“野良猫が左右どちらの肉を先に食べるか”という賭けでジャン・ピエール・ポルナレフに勝利し、彼の魂をコインに変えてしまう。実はこの猫は、事前にダービーが仕込んでいた飼い猫だった。
生粋のギャンブラーである彼は、巧妙なイカサマを仕込んで相手を陥れることを得意としている。ポルナレフの魂を取り戻すべく勝負を挑んだのが、一行の中でも心理戦と賭け事に長けているジョセフ・ジョースターだ。賭けの内容は、“酒で満たされたグラスにコインを1枚ずつ入れていき、溢れさせたら負け”というものだった。
先攻のダービーは一気に5枚もコインを入れ、序盤から優位に立つ。ところが、ジョセフはコインの裏に水を含んだ脱脂綿を隠し持ち、水かさを調整して対抗。さらに「オービーくん」とわざと名前を間違えて呼ぶなどして挑発し、心理的に揺さぶった。
だが、ダービーのイカサマはジョセフの想像を超えていた。彼は事前に食べていたチョコの切れ端をグラスの底に付けて傾けさせており、自身のタイミングで太陽の熱で溶かしてグラスを水平にさせ、体積を操ったのだ。結果、敗北を認めたジョセフもまた、魂を抜かれてしまう。
そして、最終戦となった承太郎とのポーカー対決。「星の白金(スタープラチナ)」でダービーのイカサマを封じるも、彼は承太郎がディーラーに指名した少年ですら事前に買収していた。
終始優勢で賭けを進めていくダービー。だが、承太郎は配られたカードをいっさい見ずに自信満々でレイズをしまくる。この大胆不敵なブラフに怖気づいたダービーは、結果、自ら負けを認め敗北した。
直接的な戦闘ではないが、承太郎に“強敵だった”、“たいしたヤツだぜと言わしめるほど、彼のギャンブラーとしての腕と心理戦の能力は見事なものだった。


