■“3年間の努力”が報われた瞬間…『SLAM DUNK』木暮公延
1990年から1996年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載された、井上雄彦氏によるバスケットボール漫画の金字塔『SLAM DUNK』。
湘北高校バスケ部の副キャプテン・木暮公延には、派手さも特別な才能もない。しかし、誰よりもチームを思い、静かに努力を積み重ねてきた“縁の下の力持ち”である。
そんな彼が最も輝いたのは、インターハイ出場を懸けた陵南高校戦の終盤。流川楓や桜木花道といった派手な後輩が注目を浴びる中、残り時間わずかで木暮がコートに立つ。
試合は湘北が1点リードする中、陵南の田岡茂一監督は「木暮はある程度離しといていい!!」と指示し、赤木と流川へのマークを強化する策に出た。
しかし、その判断が命取りとなる。桜木が放ったパスを受け取ったのは他でもない、木暮だった。
「木暮フリーだ うてっ!!」赤木剛憲の叫びの後でしんと静まり返る体育館。木暮の手から放たれた3ポイントシュートは美しい弧を描き、リングを貫いた。
この一投で湘北はリードを4点に広げ、その後も最後まで気を抜かず勝利をおさめた。木暮の長い下積みの日々が、最も重要な場面でついに報われた瞬間だった。
「あいつも3年間がんばってきた男なんだ 侮ってはいけなかった」と田岡監督が噛みしめた場面は、多くの読者の胸を熱くしたはずだ。
才能ではなく、努力でチームを支え続けた男が、最後の最後でチームに大きな貢献をする──。この一投こそ、“凡人の努力が奇跡を起こした瞬間”である。
山口、桜庭、そして木暮。彼らは皆、圧倒的な才能を持つ天才の陰に隠れた存在だったかもしれない。それでも決して諦めることなく自分の限界と戦い、地道な努力を続けてきた。
彼らの一瞬のプレーは、派手なスーパープレーではない。しかし、その一瞬に込められた努力の重みを知るからこそ、読者は彼らの輝きに心を打たれるのだ。


