■ケンシロウとレイから二度の死を与えられた牙一族のザコ

 最後に紹介するのは、ケンシロウとレイという2人の主要キャラから、二度に渡って殺されてしまったザコである。

 「死すべし群狼拳!の巻」に登場するのは、後にケンシロウのかけがえのない仲間となる南斗水鳥拳の使い手・レイだ。

 2人は女戦士・マミヤの弟・コウの仇を討つため、野盗集団・牙一族のアジトに乗り込む。そこで次々に牙一族をなぎ倒し、最後の1人となったザコに対し、ケンシロウは「北斗千手壊拳」を浴びせ、ヘタらせる。

 しかし、即効性のない技だったため、ダメージを感じていないザコ。「あ…あれ…痛くもかゆくもない…」とつぶやくのだが、それに対し「しかし…きさまの命はあと5秒!!」と宣告するケンシロウ。「そ…そんな〜 5秒なんていや…」と狼狽すると、今度はレイが「では 今死ね!!」と一喝し、ザコの体を瞬時に切り刻んでしまうのであった。

 ケンシロウとレイという2人の主要キャラから死に至る攻撃を受けたザコは、作中において貴重な存在かもしれない。しかも、どちらの技も痛みを感じる暇もなく絶命に至っていたため、苦しまずに最後を迎えられたのはある意味ラッキーだったかもしれない。

 意図せずして生まれた2人の連携プレーによって葬られたこのザコだが、その死は、ケンシロウとレイがより固い友情で結ばれるきっかけの1つとなったのである。

 

 『北斗の拳』は少年漫画の中でもかなり死亡シーンが多い作品だ。筆者が子どもの頃は、その過激な描写をおそるおそる見ていたが、大人になって読み返してみるとザコたちの散りざまはとてもシュールで、ある意味目が離せなくなる。

 これほどまでに個性的で記憶に残る最期が描かれているのは、まさに『北斗の拳』ならではの魅力だろう。この凄惨さと滑稽さが混在する独特の世界観こそが、本作が愛される理由の1つなのである。

 2026年には、新作アニメ『北斗の拳 ーFIST OF THE NORTH STARー』の放送が予定されている『北斗の拳』。この新作アニメでザコキャラたちがどう描かれるのか、その活躍にも大いに期待したいところである。

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