『月刊少年マガジン』(講談社)で1989年から連載された、川原正敏氏の伝説的格闘漫画『修羅の門』。圧倒的な筆致と緻密な格闘描写で、多くの格闘漫画の礎となった金字塔だ。2010年には『修羅の門 第弐門』として復活し、主人公・陸奥九十九の壮絶な戦いと、その裏にある“修羅”としての宿命があらためて描かれた。
そんな『修羅の門』については、読者の間で「作中最強ランキング」がたびたび取りざたされてきた。
今回は主人公・九十九本人を除外したうえで、作品内の戦闘描写・戦績・発言などをもとに、筆者が独断で選んだ上位8人の強さを分析してみたい。
※本記事には作品の内容を含みます
■“修羅”には一歩及ばない強者たち
第8位は、南米の暴れ牛イグナシオ・ダ・シルバ。
神武館空手の南米王者にして作中最強クラスの打撃を誇る彼は、ヴァーリ・トゥードで九十九と激突した。その耐久力と闘志は桁外れで、九十九が立ち技・寝技をすべて駆使してようやく勝利したほど。純粋なフィジカルと格闘センスが一級品だったのは間違いない。
第7位には、鬼道館空手の天才、片山右京。神武館の海堂晃と並び称される実力者で、「菩薩掌」という人智を超えた一撃を会得していた。だがその技を九十九戦の直前に披露してしまったことが敗因に。九十九戦でいきなり繰り出していれば、勝利できた可能性もあっただろう。
第弐門のラストにて、九十九への挑戦権を賭けて戦った海堂戦で格付けが終わり、“普通の天才”止まりだったことでこの順位にした。
第6位は、九十九の兄である陸奥冬弥。圓明流の技を完璧に使いこなすが、優しい性格ゆえに“戦いを楽しむ修羅”にはなれず、九十九の“覚醒トリガー”として退場する。
ここまでの3人に共通するのは“人を殺せない性格”であること。ボクシング編のラスボスとなったアリオス・キルレインも、結果的に対戦相手を死なせたことはあるが、本質的な“修羅”とはいえずランク外とした。
そして、ここからは実際に人を殺したことがある、もしくは殺す覚悟のある“修羅”たちの登場である。


