■読者の想像以上にポテンシャルが高い!? 「カゲカゲの実」

 「スリラーバーク編」にて登場した元王下七武海、ゲッコー・モリアの能力が「カゲカゲの実」。2年前に麦わらの一味に撃破されていることから印象が薄いかもしれないが、実は公式からもその強大なポテンシャルを認められた能力である。

 カゲカゲの実の能力は、生物に宿るもうひとつの魂ともいえる「影」を自在に操る性質を持つ。能力者は他者の影を切り取って服従させることができるうえ、影を死体に入れて蘇らせ、攻撃を受けても死なないゾンビ兵を作ることが可能だ。

 また、影には本来の持ち主の戦闘能力や記憶が宿っており、影を別の器に入れれば、それが反映される。そのため、器の方が強靭なパワーを持っていれば、元の影の持ち主をも凌駕する力を得られることになる。

 そして影を奪われた者は日光を浴びると消滅するという致命的な弱点を負う。この特性を最大限に活かし、モリアは影を奪うことで敵を無力化させ、その影を死体に入れて蘇らせ、自らのゾンビ軍団を増強するという凶悪な戦術を展開してみせた。

 モリア自身も能力の応用に長けており、自身の影を実体化させての直接攻撃、影と本体の位置を入れ替えて敵の攻撃を無効化する防御技、影をコウモリに分裂させての奇襲、箱に変形させての捕縛、巨大なトカゲに変えての刺突攻撃など、多彩な使い方を見せている。

 極めつけは、1000体もの影を自身に取り込むことで巨大化し、パワーアップを図る技「影の集合地(シャドーズ・アスガルド)」だ。この状態になったモリアは地面を叩き割り、スリラーバークの地盤そのものを真っ二つにするほどの破壊力を披露した。

 この能力のポテンシャルについては、『ONE PIECE magazine Vol.8』の中で「多様な能力を秘めた、数ある超人系悪魔の実の中でもとりわけ強大な能力」と評されている。

 影さえあれば無限に不死身の味方を生み出せる点や応用性の高さを考えれば、かつてモリアが四皇カイドウと渡り合えたのも、この実の力があってこそだったのだろう。

 

 3つの悪魔の実の系統の中で最も数が多い「超人系」。種類が多い分、能力についてはピンキリな部分もある一方、今回紹介したような公式が言及するほどのポテンシャルを秘めた実も存在している。

 昨今、ルフィが口にした「ゴムゴムの実」の真実が明かされたことや、カイドウのような「動物系幻獣種」の能力者が登場したことで、元から最強種とされる自然系や動物系が注目されがちだった。だが、強力かつ特異な能力を持つ一部の超人系の能力者が、これからブレイクする可能性もゼロではないだろう。

 物語が佳境に突入した今だからこそ、あらためて悪魔の実の系統や潜在能力に目を向けてみてはいかがだろうか。

  1. 1
  2. 2
  3. 3