希望が絶望に反転する瞬間…『魔法少女まどか☆マギカ』『コードギアス』『PSYCHO-PASS』にも! アニメファンが忘れられない「伝説的な残酷展開」の画像
DVD『魔法少女まどか☆マギカ 1』(アニプレックス)  ©︎Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS

 アニメ作品の中には、視聴後もしばらく呆然としてしまうような、“残酷展開”が存在する。あと一歩で手が届きそうだった希望が音を立てて崩れ、正しいと信じたはずの選択が最悪の結末を呼び込む。

 そうした展開はただの悲劇にとどまらず、視聴者が無意識に抱いていた「物語はきっと救われるはずだ」という前提を根底から覆し、作品そのものの見え方さえ変えてしまう力を持つ。

 今回は、そんな残酷展開の中でも、特に視聴者の心に深い傷跡を残し、今なお語り継がれる伝説的な3つの瞬間を振り返る。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■希望が砕けた…序盤に訪れた「まさかの惨劇」

 「可愛らしいキャラクターが愛と勇気で困難を乗り越える」という“魔法少女もの”のジャンルが持つ“お約束”を覆したのが、2011年から放送された『魔法少女まどか☆マギカ』だ。

 その中でも、第3話「もう何も怖くない」は「魔法少女だからきっとなんとかなる」という視聴者の淡い期待を、一瞬で打ち砕いた伝説的な回として知られている。

 魔女の結界に閉じ込められた友人・美樹さやかを救うため、主人公・鹿目まどかは頼れる先輩魔法少女・巴マミを連れて現場に駆けつける。孵化した魔女に対し、マミはスキルを駆使して華麗に立ち回り、圧倒する。事態はこのまま収束に向かうかと思われた。

 安堵の空気が流れ、勝利の未来が見えかけたまさにその瞬間、マミは突如として魔女に頭をがぶりと噛み砕かれてしまう。宙に吊られた体から頭部が落下し、魔法が解けた無防備な肉体は無惨に喰い尽くされていく。

 それはあまりにも唐突に訪れた、救いのない死であった。筆者も当時、この展開に意表を突かれて言葉を失ったのを覚えている。「魔法少女は最後に勝利する」という“お約束”は粉砕され、以降この作品を“安全な物語”として見ることはできなくなったのだ。

 「マミる」というネットスラングまで生み出したこの第3話の出来事は、可愛らしい絵柄とは裏腹のダークな物語を視聴者に覚悟させ、本シリーズの空気を決定づけた衝撃的なターニングポイントであった。

■優しい姫が一転、血の皇女へ……

 続いて、2006年より放送されたSFロボットアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』から、1期の第22話「血染めのユフィ」を紹介したい。本エピソードは、アニメ史に刻まれたあまりにも有名な悲劇的残酷展開である。

 神聖ブリタニア帝国の第3皇女・ユーフェミア・リ・ブリタニアは、日本人とブリタニア人が平等に暮らせる「行政特区日本」を宣言し、平和を願う式典に臨む。

 憎しみと陰謀が常態化した世界において、彼女の理想と純粋さだけは確かな一筋の光であった。策略のために式典へ現れたゼロことルルーシュ・ランペルージでさえ、「ユーフェミアだけは信じていいかもしれない」と、心を揺らすほどに……。

 しかし、運命はあまりにも残酷だった。ルルーシュの持つ「ギアス」の暴走が最悪の事態を呼び込む。ルルーシュが何気なく口にした「日本人を殺せ」という言葉が、そのままユーフェミアへの絶対命令となってしまい、優しい姫は一転して“血の皇女”へと変貌してしまうのである。

 式典の場に戻ったユーフェミアは、「日本人を名乗る皆さん、お願いがあります。死んでいただけないでしょうか?」と無邪気な口調で告げ、一人の聴衆に向けて引き金を引く。続く兵士たちの銃声とともに、祝福の舞台は一瞬で虐殺の現場と化してしまうのだった。

 そして次話、すべての責任を背負わされたユーフェミアは、ルルーシュに討たれるというあまりに不条理な展開が訪れる。操られた記憶もなく、世界平和を信じたまま息絶える彼女の笑顔は、あまりにも痛ましかった。この悲劇的な展開は、視聴者に計り知れないやるせなさと喪失感を与えたのである。

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