昭和ウルトラマン「見た目は弱そう」でも「実は強敵だった」個性派怪獣たち 「意外な強さにビックリ…」の画像
『帰ってきたウルトラマン大怪獣図鑑』(双葉社)

 1966年に『ウルトラQ』の放送が開始され、そこから始まった昭和ウルトラマンシリーズ。本シリーズには数多くの怪獣が登場し、令和の現代に至るまで長年に渡り愛され続けている。

 なかでも、ゼットンやバルタン星人、エレキング、ベムスターなどは、ヒーローであるウルトラマンの敵でありながら子どもたちを夢中にさせ、人気を博していたものだ。

 ただし、そんな人気怪獣だけが強かったわけではない。有名な怪獣でなくても、あと一歩でウルトラマンたちを倒せたのではないか、と思われる怪獣も少なからず存在する。

 さらには、ぱっと見は弱そうでも、戦ってみると意外な強さを発揮し、ウルトラマンたちを苦しめた怪獣もいた。今回は、そんな予想外の難敵たちを振り返ってみよう。

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■実は最強? 周囲を無気力にさせる「ヤメタランス」

 『帰ってきたウルトラマン』第48話「地球頂きます!」では、なまけ怪獣「ヤメタランス」が登場する。そのネーミングもそうだが、タレ目でどこかやる気のなさそうな表情が、弱々しい印象を与える怪獣だった。

 ヤメタランスは宇宙怪人・ササヒラーによって地球侵略のために送り込まれた存在で、本人の意志とは裏腹に、体から常に発している「なまけ放射能」で、周囲の人々をなまけ者にしていく。

 この「なまけ放射能」はウイルスのようなもので、その無気力効果は凄まじいものがあった。感染した者は顔に黒いそばかすのような斑点が浮かび上がり、ヤメタランスを偶然発見した少年から次々と伝染。逃走を止める窃盗犯に現行犯逮捕を止める警察官、火事の現場に行くのを止める消防隊、さらには結婚式を止める新郎新婦など、街はもはやカオス状態となってしまう。

 もともとヤメタランスは数十センチのサイズだったが、いつもお腹を空かせ、なんでも食べてしまうことでどんどん巨大化し、街が破壊されるまでに成長する。だが、駆け付けたMAT隊員たちまでもが任務を止めてしまい、なんとブランコで遊び出す始末。そして、頼みの綱である主人公・郷秀樹までもが無気力状態に陥り、ウルトラマンジャックに変身できなくなってしまう。まさにササヒラーの思惑通りとなってしまったのだ。

 最終的に、少年の応援によって復活したジャック。ヤメタランスの動きを封じ、体を小型化させて宇宙へ放り投げたことで、無事に地球は救われた。

 それにしても、MAT隊員やウルトラマンさえも無気力にさせてしまうなんて、ある意味で最強の怪獣といえるだろう。ヤメタランス自身には地球を破壊する意思はなく、郷に“地球人が無気力になった隙を見て宇宙人が攻めてくる”と教えるほどであったのだが、もしも悪意があれば、このとき地球は征服されていたかもしれない。

■隊員を人質に…東京を破壊しジャックに火を点けて苦しめたロボット怪獣「ビルガモ」

 次も『帰ってきたウルトラマン』から。第41話 「バルタン星人Jrの復讐」に登場するロボット怪獣「ビルガモ」である。この怪獣は、初代ウルトラマンに倒されたバルタン星人の息子・バルタン星人Jr.が復讐を遂げるために作ったロボットだ。

 建設中のビルに擬態したボディに、どこからともなく飛んでくる手足や頭部のパーツがドッキングすることでビルガモの姿となる。大きな目玉が特徴的だが、どこかユーモラスで、かわいらしさすら感じるビジュアルだ。

 だが、ビルガモはバルタン星人Jr.から東京都全滅とMAT基地の破壊、MAT隊員及びウルトラマン壊滅を命じられており、頭部のアンテナや口から破壊光線を放ち、縦横無尽に暴れまわる。

 しかもビルガモはこの時、ビルの調査に乗り出したMAT隊員たちを体内に取り込んでいた。唯一難を逃れた郷がウルトラマンジャックに変身して立ち向かうも、体内にはMAT隊員たちがいるため、全力を出せない。片足に火を点けられるなど、苦戦を強いられる展開となった。

 だが、その後、ビルガモの体内にいた隊員たちはジャックを勝たせるため、危険を承知でロープでビルから次々と脱出。それに気づいたジャックはビルガモの背後を取り、羽交い絞めにして動きを封じ、脱出を助けた。

 最終的に人質がいなくなったことでジャックは本領を発揮。ウルトラショットからウルトラスパークの連続攻撃でビルガモを撃破する。

 羽交い絞めにされたときにもっと暴れていたら、勝機はあっただろう。しかも、ビルガモが倒されたあと、突如バルタン星人Jr.が姿を現し「おれは負けたのではないぞ。勝負はまだ1回の表だ」と言い放っている。あれほど街を破壊してジャックを苦しめたのにもかかわらず、軽く「1回の表」で片づけられてしまうとは……ある意味で不憫な存在だった。

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