■家族の絆が深まる“新たな日常”『SPY×FAMILY』Season 3
スパイ×超能力×殺し屋という異色の家族コメディ『SPY×FAMILY』(原作:遠藤達哉さん)が、Season 3で再び注目を集めている。
前期(Season 2)では、ロイド、ヨル、アーニャという“偽装家族”それぞれの関係がより現実味を帯びて揺れ動いた。特に、ヨルが「いばら姫」として豪華客船の護衛ミッションに挑むエピソードは印象的で、亡命を企てるマフィアの要人を守るため、超人的な戦闘力で次々と刺客を退ける姿は、まさに圧巻だった。
そして今期も、フォージャー家の休日の一幕から物語が再始動。次回以降では早くも、情報屋のフランキー・フランクリンや女性諜報員の夜帷、さらにアーニャの通うイーデン校のクラスメイトたちといったおなじみの面々が再登場し、シリーズファンにはたまらないエピソードが続く。
中でも注目を集めたのが、第2話・第3話で描かれたロイドの幼少期だ。彼のスパイとしての原点が明かされる、重要なエピソードとなっている。
また、主題歌もシリーズの魅力を支える大きな要素である。オープニングテーマはスピッツの『灯を護る』、エンディングテーマは幾田りらさんの『Actor』と、作品の優しさと切なさを包み込むような楽曲が、フォージャー家の物語に温もりを添えている。
■史上最大の奇策・鄴攻め編へ『キングダム』第6シリーズ
秦の中華統一を描く歴史大河アニメ『キングダム』(原作:原泰久さん)は、第6シリーズにしてなお勢いが止まらない。
前期(第5シリーズ)では、趙の要衝・黒羊丘を舞台に、密林地帯で繰り広げられた「黒羊丘の戦い」が描かれた。総大将・桓騎の奇抜な戦術と残虐さ、そして飛信隊の結束と犠牲が強く印象に残るシーズンだった。
そして今期は、黒羊丘での勝利を経て、趙王都・邯鄲の喉元に位置する鄴(ぎょう)を狙う、史上最大の奇策「鄴攻め編」に突入する。
第1話から、開戦に備えて飛信隊が新兵1000人を募り戦力を拡充する一方、嬴政の側近・昌文君は、中華統一後の法整備を見据えて李斯を登用するなど、戦場の外でも時代を動かす布石が打たれていく。
戦では、楊端和・桓騎をそれぞれ大将とする総力戦が展開され、総大将には智将・王翦が就任。冷徹な判断力と緻密な戦略眼で知られる彼が、再び戦局の鍵を握ることになる。
「山陽大攻略戦」(第2シリーズ)や「函谷関攻防戦」(第3シリーズ)など、かつての戦いで見せた采配を振り返っておくと、今期の王翦の采配や決断が一層深く味わえるだろう。
シリーズが進むごとに、作画・演出の完成度も高まっており、戦略ドラマの重厚さと人間ドラマの熱が見事に融合している。“アニメ史に残る戦記物”として、今期はその真価を改めて証明するシーズンになりそうだ。
こうして見ると、今期の秋アニメは、単なる“続編ラッシュ”ではないことが分かる。どの作品も、長い年月をかけて紡がれてきた物語が、いよいよ転機や終着点を迎えようとしているのである。その積み重ねの末に描かれる「答え」や「深化」をリアルタイムで体感できる今こそ、見逃せないシーズンだ。
過去のエピソードを見返せば、セリフの一言も、キャラクターの表情も、まるで違って見えてくるはず。気になるシリーズがあるなら、今からでも追いついて、その続きを共に味わってほしい。


