伝説のヤンキー漫画『カメレオン』主人公は最弱でも…「最強キャラ」は誰だったのか の画像
加瀬あつし『カメレオン』(週刊少年マガジンコミックス)

 1990年代に『週刊少年マガジン』で連載された加瀬あつし氏の『カメレオン』は、昭和世代が愛読した忘れがたいヤンキー漫画の1つだ。

 物語は、いじめられっ子だった中学生・矢沢栄作(ヤザワ)が、高校入学を機にヤンキーデビューを果たすところから始まる。彼が“はったり”と“要領の良さ”で成り上がっていくサクセスストーリーは、当時としてはなんとも斬新な設定だった。

 本作はヤザワが強運でカリスマ性を高めていくギャグ要素も強いが、ヤンキー漫画の醍醐味であるケンカシーンもふんだんに描かれる。そのため、読者の間では「誰が一番強いのか」がたびたび議論されてきた。そこで今回は、本作の最強が誰なのかをあらためて考察していこう。

※本記事には作品の内容を含みます

■初期~中盤に存在感を見せつけた人気強キャラ

 物語の初期に“最強”の象徴として描かれていたのは、“裏主人公”とも呼ばれた相沢直樹だった。彼は不良の総本山・住吉中のトップスターで成南に進学。初登場時は残忍な性格で、ヤザワの舎弟・坂本昌明の鼻に割り箸を貫通させ、血まみれのままロッカーに放り込むというえげつない暴力をふるった。さらに、入学早々に先輩6人を倒すなど、その強さを見せつけた。

 しかし、親友の椎名雄二との確執と和解を経て、徐々に人間としても成長。暴走族「OZ」のNo.2として、最終的にはヤザワの“ハッタリの強さ”を認めて最大の理解者となる。椎名と互角の設定だったが、読者の間ではわずかに相沢のほうが上という意見も多い。

 その後、物語の中心で“強さの象徴”として登場したのが、「死刑部隊」と呼ばれる「松戸苦愛」三代目総長・松岡英治である。身長は低いが、「退学者収容キャンプ」と呼ばれる霞ヶ浦学園(カス学)の頭・藤城直人を一撃でKOする強烈な蹴り技を持ち、腹にチェーンを巻いたり、カバンに鉄板を仕込んだりと、抜け目のない戦略家でもある。

 人間心理を読んで相手の心を崩す戦い方を得意とし、力任せの不良たちとは一線を画していた。戦績はほぼ無敗で、唯一“完敗”と呼べるのは美島ジュンとの戦いのみ。

 守るものがあると実力を最大限発揮できなくなる迷いもあるが、それが逆に好感を持たれ、『週刊少年マガジン』誌上で行われた読者人気投票では2回ともヤザワを上回り、1位を獲得している。

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