■国民的タイトルの世界観をアニメで見事に表現
『ドラゴンクエスト』(スクウェア・エニックス)は、いわずと知れた国民的RPGである。同作をモチーフにしたアニメ作品といえば『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(1991年放送)が有名かもしれないが、それより早い1989年にアニメ化された『ドラゴンクエスト 勇者アベル伝説(放送時は『ドラゴンクエスト』のみの表記)』も負けないくらいの名作だ。
同アニメは第1部(全32話)、第2部(全11話)が放送。世界観や設定は、1988年に発売されて社会現象を巻き起こした『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』がベースになっている。
竜を封印する力を持つグロウ族の末裔アベルが、大魔王バラモスにさらわれた幼なじみの少女ティアラを救うために旅に出るという物語。『ドラクエ』らしい王道のストーリーは安心して楽しめる。
また、アベルと一緒に旅をするのは、彼と同じアリアハン出身の力持ち・モコモコ、気が強くお金が好きな女剣士・デイジィ、女に目がないがやるときはやる魔法使い・ヤナックと、クセは強いが『ドラクエ3』を彷彿させるパーティ構成である。
町で聞き込みをして必要なアイテムをゲットしたり、困っている人を助けて船を調達したりと、ゲームさながらの冒険をしながら成長していくアベルたち。しかし、そのストーリーは完全オリジナルのため、ゲームをクリアした人もしっかり楽しめる。
作中のダンジョンや戦闘シーンなどでは、ゲームでも使われているおなじみのBGMが惜しみなく流れる。また前期エンディングテーマ曲には、徳永英明さんの名曲『夢を信じて』が採用され、物語にぴったりの歌詞とメロディに胸をときめかせた視聴者は多いのではないだろうか。
膨大な容量で作られたゲームの長編ストーリーをアニメの尺に落とし込むには、エピソードの取捨選択やオリジナルストーリー化といった工夫が必要不可欠だろう。
それだけゲーム原作のアニメ化は難しそうだが、今回ピックアップした作品はゲームをプレイした人にもオススメしたいものばかりだ。もちろんアニメ単体としても完成度が高いので、アニメを観てキャラクターや雰囲気が気に入ったら、それからゲームをプレイしてみるのも一興だ。


