『ウルトラマンオメガ』に秘められた『ウルトラセブン』との「共通項」 令和版リメイクかオマージュか…の画像
『ウルトラマンオメガ』ティザービジュアル  (C)円谷プロ (C)ウルトラマンオメガ製作委員会・テレビ東京

 2025年7月より放送中の特撮ドラマ『ウルトラマンオメガ』は、怪獣という生物が一度も現れたことのない世界を舞台に、宇宙より飛来した謎の青年・オオキダソラトと、ごく普通の青年・ホシミコウセイの成長を描く、ジュブナイルSF作品である。

 物語の根幹には、なぜソラトはウルトラマンオメガに変身できるのか? なぜ彼は怪獣という生物を知っているのか? という謎が存在する。

 ソラトはその記憶のほとんどを失っており、物語は彼が記憶を取り戻す過程を追うとともに、コウセイとの交流を通じて“人間”の本質を学んでいく様子も同時に描かれている。

 そんな本作を視聴していて筆者は、かつてこれと似たようなウルトラ作品が存在したなという既視感を覚えた。まるでソラトが怪獣と対峙した際、おぼろげに記憶が蘇る“あの感じ”のように。この既視感の正体を手繰り寄せると、『ウルトラセブン』に行き当たった。

 今回は、『ウルトラマンオメガ』が『ウルトラセブン』の現代版リメイクなのではないかと思わせる3つの要素に迫ってみる。

※本記事には各作品の内容を含みます

■モロボシ・ダンとオオキダソラトの共通項

 まずはじめに、主人公のオオキダソラトの存在を深堀りしてみよう。

 ソラトはある日、隕石のように空から飛来し、記憶のほとんどを失った状態で登場する。そして、怪獣が現れると「大きくなれそうな気がする」という直感的な一言と共にウルトラマンへと変身し、彼が本作のウルトラマンであることが明らかになる。

 ソラトは当初、自らを「オメガ」と名乗っていたが、相棒的立ち位置であるホシミコウセイによって「オオキダソラト」と名付けられ、それが彼の名前として定着していく。

 この導入の展開を『ウルトラセブン』に当てはめてみると、同作の主人公、モロボシ・ダンもまた、自らの名を「モロボシ・ダンとでもしておきましょう」といった形で名乗り、本名を隠した状態で活動していた。名付け方の経緯は異なるが、人間ではない宇宙人が名前を偽り、地球に潜伏するという基本設定が似通っているのだ。

 当時のダンはウルトラ警備隊に所属することで地球人の心を学んでいたが、ソラトもまたコウセイとの生活や戦いを自ら経験することで、“人間とは何たるか”を学んでいく。

 さらには、記憶喪失という点にも共通項がある。2007年に放送された『ULTRA SEVEN X』という作品における主人公のジンもまた、本名は不明であり、記憶を失ったキャラクターとして描かれた。

 後にジンは、ウルトラセブン(かつてのダン)が命を救うために一体化せねばならなかった地球人であったことが明かされる。この前例から、『ウルトラマンオメガ』のソラトもまた、そのような経緯を辿ったウルトラマンである可能性も否定できない。

 ソラトが記憶を失ったのかはいまだ定かではないが、もしかしたらオオキダソラトというキャラクターは、これまでのモロボシ・ダンの物語の要素をギュッと凝縮した存在であるのかもしれない。

 次に、ソラトがウルトラマンオメガに変身する際に使用するアイテムに目を向けてみよう。

 ソラトは頭部より「オメガスラッガー」と呼ばれるブーメランのようなアイテムを出現させ、それを使って変身する。

 “頭部からブーメラン”と言えば、多くの特撮ファンがセブンの「アイスラッガー」を思い浮かべるだろう。変身時の効果音に耳を澄ませると、セブンの変身音が織り交ぜられており、これが意図的なオマージュであることは間違いないだろう。

 また、オメガスラッガーは変身アイテムとしてだけでなく、変身後に頭部から取り外し、武器としても使用され、投げたり手に持ったりといった活用がされている。まるで、かつてのセブンのように。

 アイスラッガーに似た武器を使うウルトラマンとしては、ウルトラマンマックスも挙げられるが、彼の「マクシウムソード」は頭部から取り外すというよりも、出現させるという表現が近いため、今回の例とは異なる解釈であると考えられる。

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