『嘘喰い』ババ抜き必勝法に『カイジ』パチンコ沼の攻略…「そこまでやる?」ギャンブル漫画に描かれた「大がかりすぎるイカサマ」の画像
福本伸行『賭博破戒録カイジ』5巻(フクモトプロ)

 ギャンブル漫画では、正々堂々とは程遠い勝負が数多く描かれる。敵側に必勝法があったり、ルールに抜け道があったりと、普通に戦っていては勝てない状況も珍しくはない。そしてそんな勝負を盛り上げるのが“イカサマ”だ。

 特に作品独自のオリジナルゲームではイカサマも複雑化し、いかに巧妙な手段で逆転するのかが見どころのひとつとなっている。中にはとんでもない方法やスケールの手口もあり、キャラクターの勝利への執念や必死さがうかがえる。

 今回は、そんなギャンブル漫画で描かれた“大がかりすぎたイカサマ”を紹介していこう。

 

※本記事には各作品の内容を含みます 

■『嘘喰い』想像を絶するイカサマ方法

 迫稔雄氏による『嘘喰い』(集英社)は、かなり異色のギャンブル漫画だ。ゲーム内容は独特で毎回命がけ、しかも「賭郎」の立会人同士の肉弾戦も見どころのひとつになっている。

 中でも特に大きな盛り上がりを見せたのが、国際指名手配中のテロリスト・佐田国一輝と主人公・斑目貘が対決した「ババ抜き」だろう。

 ババ抜きといってもただのババ抜きではなく、「ハングマン」というルールが採用されている。ババには1〜5までの数字と絞首台が描かれた絵札が使用され、ババを引くとそこに記された数字が加算されていく流れだ。数字の合計が11以上になると負けとなり、プレイヤーは絞首刑に処されてしまう……。最短3ゲームで勝負がつく、まさに命がけの勝負だ。

 ゲームが始まると、佐田国はまるで獏の手札が見えているかのようにゲームを進めていく。そこから獏は佐田国に必勝法があると見抜き、そのトリックを暴くべく作戦を練り始めた。

 なんと佐田国のイカサマは、監視カメラと自らの目を接続し、相手のカードを覗き見するというものだった。実は全盲である彼は、カメラなどの映像を電気刺激で得る「人工視覚」によって視覚情報を得ており、それをイカサマにも使っていたのだ。

 しかし、誰もそんな方法で自分の手札が読まれているとは予想ができないだろう。それに、イカサマの証拠を押さえるのも難しい……。

 だが獏はこの事実に気付き、仲間の梶隆臣が発砲して壊した監視カメラを利用する。佐田国には複数の監視カメラ映像が順番に見えていたので、壊れたカメラの番が回ってくると一時的に視界が真っ暗になってしまう。ほんの10秒ほどだ。

 その間の佐田国は無防備状態なので、なんと獏は堂々とカードを覗き見していたのだ。このシーンはかなりインパクトがある。この奇策によって佐田国は負けてしまったが、高度な医療技術を悪用してギャンブルに臨むその執念には驚きだ。

■『賭博破戒録カイジ』攻略不可能なパチンコに対するとんでもない奇策

 福本伸行氏による『賭博破戒録カイジ』(講談社)にも、多彩なオリジナルのギャンブルが登場する。中でも絶対に攻略ができないだろうと思われたのが、パチンコ「沼」だ。

 これは帝愛グループの裏カジノで一条聖也が考案した一発台である。ルールは単純で、パチンコの玉を三段クルーンの三段目の大当たりの穴に入れるだけだ。しかし、それを阻むための仕掛けが幾重にも施されている。

 盤面全体に広がるクギの森や遠隔操作されるブロッカーなどが玉の動きを阻み、三段クルーンに到達することすら非常に困難だ。さらに運よく到達してからも、3分の1、4分の1、5分の1の確率を乗りこえて初めて大当たりとなる。

 さらに一条は台自体を傾け、大当たりに入らないよう細工していた。しかも万が一に備えて、穴の周りからは風が吹き出す仕掛けまで設置。どんなに頑張っても絶対に大当たりに玉は入らない仕組みである。

 ここまで徹底してやっているのは、大当たりを出してしまうと億単位の金を失うからだ。あまりにも露骨すぎて、普通に考えたら誰も挑戦しない気もするが……。

 攻略不可能に思われたこの「沼」を、伊藤開司(カイジ)はとんでもない奇策で打ち破ってみせる。クギの森は、クギの間隔調整のための玉を大きなサイズにすり替えておいて隙間を広げさせ、ブロッカーは事前に破損させてすり替えることで無効化した。

 極めつけは台の傾斜対策だ。カイジはなんとビルの片側に圧力をかけ、ビル自体を傾けてしまうという、一条以上にぶっ飛んだ発想で攻略に成功した。その方法としては、ビルの空室に水が入った容器を大量に用意し、意図的に地盤沈下を起こすというものである。

 結果としてカイジは勝利できたが、それは奇策と偶然がうまい具合に重なった結果。同じことをしただけでは勝てる保障はない。一条の対策はまさに鉄壁だったのだ。

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