■明らかになった特異能力…不死川玄弥に産屋敷耀哉
同じく、炭治郎の同期では、不死川玄弥もまた驚くべき能力を持っている。
玄弥は「全集中の呼吸」を使えないという、鬼殺隊士としては致命的な欠点を持っている。だが、刀鍛冶の里編で、鬼を食べることで一時的に鬼化し、鬼並みの再生力や戦闘力を得られることが明らかになった。これは修行で身につけた力というわけではなく、生まれ持っての特異能力だというから驚きだ。
これらを鑑みると、鬼でありながら人間性を保つ禰󠄀豆子どころか、玄弥こそが鬼と人間の中間の存在と言えるのではないだろうか。
那田蜘蛛山編の後の柱合会議で柱の面々が禰󠄀豆子の存在に強く反発し、躍起になって殺そうとしていたが、玄弥もまたかなり危険な存在だと見なされてもおかしくない。彼の師である岩柱・悲鳴嶼行冥がともにいてくれたことが、心身ともに玄弥を救っているのだろう。
そして、鬼殺隊のトップであるお館様こと産屋敷耀哉も、唯一無二の能力を持つチートキャラである。
抜群のカリスマ性を持つ彼だが、その秘密の一つが「1/fのゆらぎ」を持つ声にある。これは聞く者に安らぎを与える特殊な声質のことであり、炭治郎も作中で“頭がふわふわして心地よい”と、その効果を実感していた。
この「ふわふわ」が具体的に何を指すかわからないが、これは考えようによっては他人の意思を先導できるとも考えられないだろうか。
お館様が善人で心優しい人物だったからよかったものの、しかし、もしもこの能力が悪用されてしまえば、間違った方向に人を動かしかねない。そう考えると怖いものがある。
『鬼滅の刃』では、鬼だけでなく、鬼殺隊にも人並外れた能力を持つキャラたちが存在する。しかし、その誰もが鍛錬を怠らず、自己研鑽に励んでいることは賞賛に値する。地道な努力こそが、実を結ぶのだろう。