■1つずつ感覚が奪われる恐怖…乙女座のシャカ「天舞宝輪」

 最後に紹介するのは、“最も神に近い男”と称される乙女座(バルゴ)のシャカが繰り出す究極の奥義「天舞宝輪(てんぶほうりん)」だ。この技は、前述した2つの技のような“即座の空間転移”や“魂の分離”とは異なり、時間をかけてじわじわと、かつ確実に相手を絶望へ追い込むというものである。

 「シャカ!神に近い男の巻」にて、その最初の犠牲者となったのが一輝だった。普段は閉じられているシャカの目が開かれ、この技が発動。

 一輝はまず体を麻痺させられ、触覚を奪われる。次いで、嗅覚、味覚、視覚、聴覚と人間の持つ五感を1つずつ奪われ、最後は完全無の世界に落とされてしまった。

 この技の恐ろしい点は、命を奪う前に人間としての“感覚”を剥ぎ取られてしまうことだ。五感全部を失うことは戦士としての能力を奪うだけでなく、人間としての存在意義を揺るがす精神的な拷問ともいえるだろう。

 さらにシャカは一輝の五感をすべて奪ったあと、再び天舞宝輪を繰り出し、追い打ちをかけるように第六感(意識)までをも断ち切っている。これはもはや“生きながらにして死んだ”状態となり、筆舌にしがたい苦痛を味わうことになる。

 肉体的な死よりも残酷かもしれないこの技は、作中屈指の恐ろしさを誇る絶対に受けたくない技だと言えるだろう。

 

 今回紹介した以外にも、それぞれの黄金聖闘士が繰り出す技はどれも一撃必殺の威力を秘めており、決して受けてみたいと思えるものではない。それでも今日紹介した技は特に精神的なダメージが強く、1度受けたら一生立ち直れない技として選んでみた。

 こんな技を繰り出す黄金聖闘士は本当に強い。しかし、これらの技を受けても立ち上がり勝ち続けてきた星矢たち青銅聖闘士には、もはや尊敬の念しかないのだ。

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